2011 Fiscal Year Annual Research Report
染色体テリトリーの核内配置分子基盤の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Systematic study of chromosome adaptation |
Project/Area Number |
23125505
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
田辺 秀之 総合研究大学院大学, 先導科学研究科, 准教授 (50261178)
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Keywords | 染色体テリトリー / 3D-FISH法 / 核内配置 / ゲノム構築 / エピゲノム / 腫瘍細胞 / 放射状ゲノム配置 / 遺伝子ポジショニング |
Research Abstract |
細胞核における核内染色体は高度に区画化された「染色体テリトリー(CT)」を持ち、個々のCTの物理サイズ、遺伝子密度、遺伝子発現状態などに関連して、CTの核内配置が規定されていると考えられている。しかしながらその分子基盤については未解明である。一般に、物理サイズが小さく、遺伝子密度が高いCTは核の中心付近に配置され、物理サイズが大きく、遺伝子密度が低いCTは核膜周辺部に配置される傾向があり、そのトポロジーは同一細胞腫ではヒトから霊長類、ニワトリに至るまで進化的に高度に保存されている。本研究では、CTの放射状核内配置(核の中心から外側に向けての核内配置)のこのような特性に着目し、すでに開発済みであるPeriphery DNA Probe(Pプローブ)とInterior DNA Probe(Iプローブ)を用いて、3D-FISH法によりゲノム空間配置のゆらぎの度合い(可塑性)を調べ、ゲノム構築原理、ゲノムアダプテーションの特性を明らかにすることを目指している。予備実験からヒト腫瘍細胞株のうち神経膠芽腫細胞株(T98G、YKG-1)にて放射状核内配置が強く撹乱されている傾向が判明していたため、今年度は、対象とする神経膠芽腫細胞株を新たに入手して解析を進めた(DBTRG-05MG、M059K、LN-229、U-87MG、他)。各細胞株を培養し、中期染色体標本および細胞核3次元構造保持3D-スライド標本を作製し、PプローブとIプローブを用いた3D-FISH法により、一部の細胞株で共焦点レーザースキャン顕微鏡による画像取得を完了した。今後は各細胞株のゲノム配置の特性を調べ、正常細胞と異なる遺伝子をリストアップして、核内配置制御に関連する候補因子を選定し、RNA干渉実験を組み合わせながら、PプローブとIプローブを用いた3D-FISH法により、放射状核内配置のゆらぎの度合いを調べていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト腫瘍細胞のうち、対象とする神経膠芽腫細胞株を7株ほど新たに入手して標本調整を進めたが、予想以上に細胞培養と標本作製の対処に時間を要してしまった。そのため、当初予定していた核内配置制御に関連する候補因子の選定とRNA干渉実験まで進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新規に導入した神経膠芽腫細胞株のうち、標本作製が良好な4株に解析対象を絞り込む。そして、PプローブとIプローブを用いた3D-FISH法を迅速に進め、各細胞株のゲノム配置の特性を詳細に調べることに重点をおく。併行して、各細胞株のゲノム情報と遺伝子発現の特徴を捉えておき、核内配置制御に関する候補因子の選定を行う。正常細胞に対して候補因子のRNA干渉を施し、同様にPプローブとIプローブを用いた3D-FISH法により、放射状核内配置のゆらぎの度合いを調べていく。4C法による候補因子の機能解析はすぐには実施せず、RNA干渉により顕著なゆらぎ度が見出された場合にのみ解析を進める。
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Research Products
(3 results)