2011 Fiscal Year Annual Research Report
DNA複製制御因子による減数分裂期のセントロメア構造変換機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Systematic study of chromosome adaptation |
Project/Area Number |
23125506
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山本 歩 静岡大学, 理学部, 准教授 (70359082)
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Keywords | 細胞生物学 / 分子生物学 / 減数分裂 / セントロメア / 動原体 / DNA複製 / 染色体分配 |
Research Abstract |
配偶子形成に必須な減数分裂では二回の染色体分配によってゲノム量が半減し、配偶子融合によって生み出される次世代の個体のゲノム量が一定に保たれる。第一分裂では相同染色体が分配されるが、このとき相同染色体は紡錘体の両極から伸びた微小管と動原体を介して結合し、姉妹染色分体は同一の極と結合する。姉妹染色分体が同一極と結合するためには、その動原体が同一方向を向くことが必要だが、この一方向性を生み出すセントロメア構造の形成機構は解明されていない。我々は分裂酵母をもちい、このセントロメア形成に接合フェロモンシグナルおよびDNA複製チェックポイント因子であるMrc1が必要なことを報告している。セントロメア構造制御機構を解明するために、DNAチェックポイント因子について染色体分配を解析し、セントロメア形成に関与するのかを検討した。その結果、Mrc1をリン酸化するRad3およびTel1キナーゼ、およびDNA複製フォークの安定化因子であるSwi1が関与すること、しかしMrc1の下流で働くCds1キナーゼは関与しないことを見いだした。またサイクリン依存性キナーゼの制御因子であるWee1およびMik1キナーゼの欠損は接合フェロモンシグナルがなくても、減数分裂型のセントロメア構造形成を引き起こした。以上の結果から、接合フェロモンシグナル経路の制御下でWee1およびMik1キナーゼが不活性化し、これらDNA複製関連因子がDNA複製期に働き、減数分裂特異的なセントロメア形成を促すという可能性が考えられた。また、染色体分配には相同染色体を物理的に結合するキアズマも関与するため、セントロメア構造と染色体分配の関連を明らかにするために、キアズマの影響も解析した。その結果キアズマは姉妹染色分体の両極との結合を抑制し、同一の極との結合を促進する効果があった。そのため、キアズマ形成の有無によってセントロメア構造が染色体分配に及ぼす影響が異なる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DNA複製関連因子の変異株ではlacリプレッサーを用いた染色体の可視化法に影響があり、染色体のシグナルが細胞分裂を経ることによって弱くなる傾向があった。このため、当初の予想より染色体分配の解析が進まなかった。また、ATP類自体で阻害のかかるキナーゼの変異体およびプロモーター置換による発現制御変異体をいくつか作成したが、当初の予想どおりには機能しなかったため、計画の変更が必要になった。
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Strategy for Future Research Activity |
染色体分配や動態解析だけでなく、これまで見いだした個々の因子のリン酸化状態を解析することにより力を注ぐ。これによってリン酸化状態からこれら因子の制御経路における順序を決定し、制御経路の全体像の把握をめざす。またセントロメア構造形成に必須なコヒーシン複合体の染色体局在を解析する実験をおこない、実際にセントロメア構造形成にどのように関与しているのかを解析する。また、動原体の方向性を解析する新たな実験系の構築に取り組み、これら因子のより詳細な機能の解明をめざす。また研究に従事する人員を増やす予定である。
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Research Products
(1 results)