2011 Fiscal Year Annual Research Report
テロメア消失ストレスによる染色体適応に関係する新規蛋白質の探索とその機能解析
Publicly Offered Research
Project Area | Systematic study of chromosome adaptation |
Project/Area Number |
23125510
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上野 勝 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 准教授 (90293597)
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Keywords | テロメア / ヘリケース / 分裂酵母 / DNA組換え / DNA修復 |
Research Abstract |
我々は、分裂酵母テロメア結合因子pot1の破壊株とヘリケースRqh1の点変異株(rqh1-hd株)との二重変異株(pot1 rqh1-hd株)では、テロメアが組換えで維持されることや、微小管阻害剤感受性になることなどを報告している(Mol. Cell. Biol. 2011)。一方、pot1の破壊株とrqh1の完全欠損株(rqh1株)との二重変異株(pot1 rqh1株)は、生育不可能であることが報告されている。しかしなぜこの株が生育できないかはわかっていない。そこで、本研究では、この株が生育できない原因を解明することで、Pot1やRqh1の新しい機能の発見を試みる。 本年度は、Pot1の機能のオンとオフを容易制御できる株の構築を試みた。まず、Pot1のプロモーターをチアミンという薬剤添加で発現を抑制できるプロモーター(nmt81)に置き換えた株を作成し、次にこの株のPot1のC末にaidタグを導入し、オーキシンという薬剤の添加でPot1を分解できる株を構築した。その結果、チアミンとオーキシンの両方を加えたときにRPAフォーサイが急増し、テロメアが急激に消失することがわかった。来年度はこの株とrqh1の破壊を組み合わせた場合の表現型を解析することで、pot1 rqh1株が生育不可能になる原因の解明を試みる。 次に、pot1 rqh1株の生育不可能を抑圧する遺伝子を探索した結果、pot1 rqh1 rad51三重破壊株と同様に、pot1 rqh1 exo1三重破壊株が生育可能で、環状染色体を維持できることを発見した。 pot1破壊と同様にテロメラーゼをコードした遺伝子trt1破壊株もテロメアが消失する。そこで、trt1 rqh1完全欠損株が生育できるかどうかを調べた。その結果、pot1 rqh1株と違って、trt1 rqh1株は生育可能であることを発見した。このことから、trt1 rqh1完全欠損株ではPot1がテロメア末端を保護し、それが生存を可能にしていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにpot rqh1株の生育不可能を抑圧する遺伝子の探索については、当初予定していた新しい因子(exo1)の発見に成功している。さらに、Pot1の機能のオンとオフを制御できる株の構築にも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Pot1の機能のオンとオフを制御できる株を使って、Rqh1があるときとないときで、テロメア末端の構造変化にどのような影響を与えるのかを明らかにする予定である。
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