2011 Fiscal Year Annual Research Report
肥満が組織内コエンザイムAプールに及ばす影響
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
23126501
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長南 茂 茨城大学, 農学部, 准教授 (70312775)
|
Keywords | 肥満 / コエンザイムA / 細胞内代謝 / 食欲 / 脂質 / パントテン酸 / ビタミンB5 / ラット |
Research Abstract |
本研究の最終目標はラットの各組織内でのコエンザイムA(CoA)およびアシル-CoAの機能・役割を解明することであるが、本申請では、視床下部においては食欲調節に、細胞内ではミトコンドリアへの脂肪酸の取り込みに関与しているCoA分子種の一つであるマロニル-CoAに着目し、高脂肪食を給餌した肥満ラットの脳部位5組織を含めた計13組織中の動態解析を行った。 平成23年度は、高脂肪食、高炭水化物食、および高タンパク質食で飼育したラットを比較解析した。具体的には、雄の8週齢wistar系ラット各6頭を標準食で1週間馴致後、高炭水化物食、高タンパク質食、あるいは高脂肪食をそれぞれ自由摂食、自由飲水で12時間明暗サイクルの下で4週間飼育し、一晩絶食後、13組織を摘出した。組織中の各CoAプール(アセチル-CoA、マロニル-CoA、およびCoASH)を酸抽出法により調製し、これを酵素的微量定量法であるアシルーCoAサイクリング法の試料として各組織内CoAプールの動態を解析した。飼料間での摂取カロリーには違いがなかったが、高脂肪食摂取ラットの体重増加量は他の試験区より明らかに大きかった。高脂肪食摂取による組織重量の有意な増加は、肝臓、心臓、腎周囲脂肪、および精巣上体脂肪で観察された。組織内CoAプールの解析では、高脂肪食摂取により総CoAプールのサイズは視床下部、小脳、および腎臓で有意に大きく、肝臓および骨格筋で有意に小さかった。また脂肪を摂取したラットのマロニル-CoAレベルは視床下部および骨格筋で有意に高く、肝臓で低かった。このように、高脂肪食摂取により肥満を呈し、脂肪の蓄積が起こり、炭素のキャリアとして機能する細胞内CoAレベルが食欲を調節している視床下部を含め、脂肪代謝に大きく関与している肝臓、エネルギー消費に寄与する骨格筋で有意に異なるのは興味深い。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂肪摂取ラットの解析は順調に終了し、現在、投稿論文を準備している。平成23年度計画した肥満ラットへのパントテン酸、あるいはカルニチン投与試験は、肝臓に着目し、当初の計画に試験項目を追加したため、継続して実験を行っている。したがって、脂肪酸阻害剤であるセルレニン投与試験は行っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度までに脂肪摂取による肥満ラットの組織内CoAプールの動態解析が終了した。平成24年度は、まず継続解析を行っているパントテン酸およびカルニチン投与が肥満および組織内CoAプールに及ぼす影響について計画を拡大して解析する。次いで、病態ラットを用いてCoAプールの動態解析を行う予定である。これら二つの試験は本申請の根幹を成す部分であるので、平成23年度に計画した脂肪酸阻害剤セルレニン投与が組織内CoAプールに及ぼす影響に関する試験に優先して行う。
|
Research Products
(3 results)