2011 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓と食欲をつなぐ肝臓特異的発現転写因子CREBHと分泌ホルモンFGF21
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
23126502
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中川 嘉 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80361351)
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Keywords | 転写因子 / 生活習慣病 / CREBH / FGF21 |
Research Abstract |
我々は小胞体ストレス関連転写因子と考えられているCREBHの食欲からの生活習慣病への関与を検討している。小胞体ストレスは生活習慣病発症に働くと考えられているが、CREBHは逆に改善する。そのメカニズムの一端として生活習慣病改善ホルモンFGF21の発現が誘導させた。その結果、CREBHの過剰発現では血中グルコース、インスリン、脂質の低下、食欲低下を示し、生活習慣病の病態を改善させた。逆にノックアウトマウスでは普通食摂取時にも血清中性脂肪の増加をはじめとする栄養代謝の異常を示した。 FGF21の遺伝子発現制御メカニズムの解析ではCREBHが直接、FGF21の発現制を活性化する経路とさらにすでに報告のあるPPARαを介した経路の2つの経路で制御することを明らかにした。PPARαを介した経路はCREBHがPPARαの発現を直接、上昇させることによる。PPARαの活性化は脳での食欲制御に関わることが知られている。肝臓でのCREBH過剰発現時、脳での遺伝子発現のパターンは摂食促進であるのに対し、実際、摂食量は低下した。CREBHによる食欲抑制の原因の一つにPPARaが関係する可能性が考えられる。PPARαの活性化剤による脂肪酸酸化の亢進が肝臓および血中の脂肪酸組成を変化させることで食欲を変化させる。そのため、CREBHによる食欲の変化にPPARαを介した脂肪酸の変化による可能性が考えられた。現在、CREBH過剰発現マウスの肝臓における脂肪酸組成の検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、成果をまとめ、論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
肝臓における脂肪酸組成の変化と食欲の関係をさらに解析していく。CREBHノックアウトマウスやPPARaノックアウトマウスなど遺伝子改変マウスを使い、食欲の変化の起因となる変化を明らかにしていく。
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