2011 Fiscal Year Annual Research Report
アルファアレスチンによる絶食応答・脂肪蓄積制御
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
23126512
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増谷 弘 京都大学, ウイルス研究所, 准教授 (50252523)
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Keywords | TBP-2/Txnip / アルファアレスチン / 糖尿病 / エネルギー代謝制御 / 脂肪蓄積制御 / インスリン抵抗性 / 筋肉 / 脂肪細胞分化 |
Research Abstract |
目的 アルファアレスチンファミリー分子thioredoxin binding protein-2(TBP-2)/Txnipはエネルギー代謝調節にとって重要な分子である。本研究は、TBP-2によるエネルギー代謝制御機構を解明し、脂肪蓄積制御や2型糖尿病の治療法開発への貢献を目指す。 今年度の研究実績 1)TBP-2によるシグナル制御機構 TBP-2のノックアウトマウスのMEF細胞や細胞株でのTBP-2のノックダウンはTGF-betaのシグナルを増強することを明らかにした。この結果は、TBP-2がTGF-betaファミリーのシグナルを調節することにより、脂肪組織の分化制御に関与している可能性を示す(PLoS One,in revision)。 2)TBP-2発現制御機構 C2Cl2や3T3-L1細胞を用いて筋肉・脂肪細胞の増殖・分化におけるTBP-2の役割の解析を行った。TBP-2やARRDC2の発現が高血糖により顕著に転写レベルで誘導された。TBP-2プロモーターのdeletion mutantを作成して解析したところ、glucoseに対する反応を示す部位はCT rich elementであることを同定した。さらに、高血糖によるTBP-2発現誘導を阻害する低分子化合物の384ウェルによるスクリーニング系を作成した。TBP-2誘導阻害によりインスリン抵抗性を改善することによって、脂肪蓄積制御が期待できる。 3)TBP-2によるインスリン感受性制御機構の解析 TBP-2によるインスリンの感受性抑制の分子機構を明らかにするため、筋肉細胞においてTBP-2と相互作用する分子のプロテオミクス解析のためのアッセイ系を作成した。 4)TBP-2による行動制御 TBP-2欠損が行動に及ぼす作用をTBP-2-/-マウスを用いて共同研究を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TBP-2のエネルギー代謝制御機構の解析は順調に進展している。TBP-2のTGF-betaシグナル制御機構を明らかにすることができた。また、TBP-2の高血糖による発現制御機構をこれまで報告されていたCarbohydrate responsive elementではなく、CT rich elementであることを明らかにした。さらに高血糖によるTBP-2発現抑制に関する低分子化合物のhigh throughput screening系を作成した。このアッセイ系を用いて、TBP-2の高血糖による発現誘導の抑制によるインスリン抵抗性の改善と脂肪蓄積制御のための新たな化合物の同定が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、高血糖によるTBP-2発現抑制に関する低分子化合物のhigh throughput screening系を作成した。このアッセイ系を用いて、TBP-2の高血糖による発現誘導の抑制によるインスリン抵抗性の改善と脂肪蓄積制御のための新たな化合物の同定が期待できる。今年度はさらにこのスクリーニング系を改良し、薬学研究科などからの低分子化合物ライブラリーの提供を受け、スクリーニングを開始する。また、平行して、TBP-2の分子機構解析のためのプロテオミクス解析を行う。
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Research Products
(6 results)