2011 Fiscal Year Annual Research Report
概日NAD+代謝制御の破綻による肥満発症メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
23126515
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
中畑 泰和 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (50390810)
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Keywords | 概日時計 / 代謝性疾患 |
Research Abstract |
これまでの膨大な研究成果により、概日時計と老化や代謝性疾患との関連が示唆されてきた。しかしながら、遺伝子/分子レベルでの理解は依然不明のままである。これまでに、概日時計が遺伝子/分子レベルでNAD^+/SIRT1という寿命・代謝に重要な代謝物/酵素を24時間周期で制御していることを私は明らかにした。これらの研究を発展させ、NAD^+が24時間周期で変動することの生理的意義の解明を目指している。本研究では、脂肪蓄積制御メカニズムに焦点を当て、概日NAD^+変動の脂肪蓄積制御への関与および脂肪蓄積制御異常の一因がNAD^+の概日変動破綻に起因することを、細胞・臓器・個体という異なった階層で解析する。 NAD^+が24時間周期で変動することの生理的意義を解明するため、細胞内NAD^+生合成経路の律速酵素であるNamptを全身で高発現させたトランスジェニック(Tg)マウスの作製を試みた。全身性にNamptを高発現させるためにpCAGGSベクターを用いた。その結果、2つの異なる系統のNampt-Tgマウスの作製に成功した。現在、これらの系統のマウスを繁殖中であり、予備的ではあるが、Tgマウスは対照野生型マウスに比べ、体重が軽い傾向にあった。この予備的結果は、全身性NAD^+増加と脂肪蓄積に何らかの関連性がある可能性を示唆している。一方で、NAD^+FRETプローブ作成は現在、in vitroでプローブのNAD^+特異性を検証している。今後はこれらプローブおよびTgマウスの解析を行い、全身性NAD^+増加と脂肪蓄積制御メカニズムの関連性を分子レベルで明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Tgマウスの繁殖能力が低く、繁殖に時間がかかっている。 NAD^+FRETプローブ開発に以下の理由で難航している。1)NAD^+量に依存してFRETを起こすプローブの作成に時間がかかった。2)大腸菌でのFRETプロープ精製の条件検討に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作成したTgマウスの細胞、臓器をもちいて、細胞内NAD^+変動と脂肪蓄積制御メカニズムの関連性を分子レベルで明らかする。具体的には、初代膵β細胞では種々の刺激によるインスリン分泌能を、初代肝細胞ではグルコースの取り込み、初代内臓脂肪細胞は脂肪細胞分化能、遊離脂肪酸産生能などを調べ、個体レベルでは、グルコース依存性インスリン分泌試験、ブドウ糖負荷試験、インスリン負荷試験などを行う。
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Research Products
(1 results)