2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体リズムが中枢性代謝調節に与える影響と異所性脂肪蓄積の関連
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
23126519
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
志内 哲也 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (70372729)
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Keywords | インスリン感受性 / 骨格筋 / 摂食リズム / 視床下部 |
Research Abstract |
夜食症のような生活習慣の乱れがインスリン抵抗性を惹起することはよく知られている。しかし、中枢での摂食調節物質が、末梢組織における生体リズムの制御に関与する可能性や、それに伴う脂肪酸代謝への関与は不明である。そこで本研究においては、中枢の摂食調節物質が末梢の生体リズムと脂肪酸代謝に与える影響を解明することを目的とした。申請者は、摂食リズムを変えた暗期開始4時間のみ(Morning)、暗期終了4時間のみ(Evening)、暗期12時間(Control)の摂食リズムの3群を作製し、8週間後のインスリン感受性を測定した。その結果、Evening群のインスリン感受性が有意に低下していることを確認した。また、骨格筋における脂肪含量が、Evening群において有意に高い値を示し、脂肪酸合成酵素のmRNAおよびタンパク発現の有意な増加を認めた。骨格筋における異所性脂肪蓄積は、インスリン抵抗性を惹起する。一方、Evening群では視床下部における摂食関連ペプチドであるAgRPの発現が、Control群と比べて大きく乱れていることを突き止めた。そこで、摂食量を同等に維持しながら7日間連続でAgRPを側脳室内に投与すると、骨格筋における交感神経活性が低下するとともに、骨格筋における脂肪蓄積が増加し、脂肪酸合成酵素のmRNA発現が増加することを見出した。 これらの結果より、夜食症のような摂食リズムは骨格筋における脂肪蓄積を伴ってインスリン感受性の低下を引き起こすことが明らかとなった。そのメカニズムの一つとして、視床下部のAgRPが関与することが考えられる。また上記結果は、摂食リズムの乱れがインスリン感受性の低下を惹起することを示唆しており、生活リズムの破綻による糖尿病発症が漸増する今日の社会において重要な研究になると思われる。今後の更なるメカニズムの解明が必要と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験の順番は変わったが、ほぼ、当初の計画通りに進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
予定している計画を粛々と進める。 ただし、in vivoイメージング機器を用いた実験については、動物センターへの動物の搬入および飼育などの制限により、本年度の使用をあきらめる。
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