2011 Fiscal Year Annual Research Report
末梢オキシトシンによる摂食・代謝調節神経経路の解明と肥満治療応用基盤の確立
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
23126523
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
前島 裕子 自治医科大学, 医学部, 助教 (40438669)
|
Keywords | オキシトシン / 肥満 / 摂食行動 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
1.長期投与オキシトシンのエネルギー代謝への作用の解明 皮下埋め込み式浸透圧ポンプからの除放による13日間のOxt投与は、高脂肪食誘発肥満(DIO)マウスにおいて、摂食量・体重・内臓脂肪量の低下、脂肪利用の亢進、脂肪肝・耐糖能障害の改善をもたらし、抗肥満・抗メタボリックシンドローム作用が観察された。一方、Oxtの長期投与はDIOマウスの正常血圧レベルおよび自発運動量には影響を与えなかった。DIOマウスにおいて17日間のOxtの皮下連日投与も摂食量・体重を有意に減少させ、さらに投与終了後も1週間以上にわたり有意な体重低下が持続し、遺産効果が示された。末梢からのOxtの長期投与は肥満・メタボリックシンドロームに対する有効な治療法となる可能性が示唆された。 2.末梢投与による摂食抑制神経経路の解明 Oxtの末梢投与により摂食・エネルギー代謝中枢である視床下部弓状核と室傍核、延髄孤束核を含むいくつかの神経核にc-FOSタンパク発現の増加が見られた。さらに末梢投与Oxtによる摂食抑制は中枢投与のメラノコルチン阻害剤(SHU9119)で阻害されないことから、メラノコルチン非依存的な経路を介することも明らかになった。室傍核に発現するc-fos発現細胞の約47%がNesfatin-1ニューロンであり、54%がOxtニューロンであった。このことから、末梢オキシトシン投与は、室傍核nesfatin-1-Oxt系を活性化する可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
末梢投与による神経経路はほぼ明らかになってきており、今年度はもう少し詰める課題もあるが、ほぼ完成といえる。長期投与オキシトシンによるエネルギー代謝、糖代謝などへの抗肥満作用についてはすでに論文を発表し、治療応用基盤も確立しつつある。
|
Strategy for Future Research Activity |
すでに末梢投与によるオキシトシンの抗肥満効果については論文を発表したが、今年度はより非侵襲的な経鼻投与オキシトシンまたはアナログの有効な投与量、方法および作用機序などを検討し、より現実的なオキシトシンを用いた治療応用基盤を確立する予定である。
|