2011 Fiscal Year Annual Research Report
幼若期ストレスによる食欲制御メカニズムの破綻
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular Basis and Disorders of Control of Apetite and Fat Accumulation |
Project/Area Number |
23126524
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
高柳 友紀 自治医科大学, 医学部, 講師 (10418890)
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Keywords | オキシトシン / PrRP / セロトニン / 幼若期 / ストレス / 摂食 / 酸素消費量 |
Research Abstract |
本研究では、幼若期に形成されるPrRP産生ニューロン-オキシトシン産生ニューロン-セロトニン作動性ニューロン回路が、幼若期ストレスによって可塑的に変化し、将来の摂食行動を規定しているという仮説の検証を行う。 まず、成体においてPrRP産生ニューロン-オキシトシン産生ニューロン回路が摂食を抑制するかの検討を行った。24時間絶食後の明期あるいは暗期に再摂食させると、視床下部室傍核および視索上核のオキシトシン産生ニューロンが活性化された。しかし、PrRP遺伝子欠損マウスでは再摂食後のオキシトシン産生ニューロンの活性化が抑制された。一方で、コレシストキニンを投与すると、野生型マウスでは血中へのオキシトシン分泌が増大するが、PrRP遺伝子欠損マウスではその上昇が抑制された。これらのことからコレシストキニンはPrRP-オキシトシン系を介して摂食を抑制する可能性が示唆された。さらに、視索上核のオキシトシン産生ニューロンにPrRP受容体が発現していることを確認した。視索上核片を単離し、PrRPで処理をするとオキシトシンの放出が増大した。よって、視索上核のオキシトシン産生ニューロンにPrRPが働き、摂食を抑制する可能性が示唆された。 一方で、幼若期ストレスによるオキシトシン放出の増大が将来の摂食行動へ与える影響をみるため、生後5日間マウスにオキシトシンを投与した。成熟後の雄では、オキシトシン投与群で体重が増加した。摂食量に変化はないが、酸素消費量が減少しており、これが体重増大の原因と考えられた。一方、雌では体重に変化はなかったが、摂食量が減少していた。しかし、酸素消費量も減少していたため、体重に変化がなかったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生後5日間オキシトシンを投与した雄マウスにおける体重増加の表現型は週齢が進んでから現れたため、その解析が多少遅れ気味であるが、全体的にはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
成体におけるPrRP産生ニューロン-オキシトシン産生ニューロン-セロトニン作動性ニューロン回路が摂食を抑制するかについて、阻害剤の局所投与、遺伝子欠損動物、部位特異的にPrRP産生ニューロンあるいはオキシトシン産生ニューロンを破壊できる遺伝子改変ラットなどを駆使して、ニューロンの活性化や遺伝子発現、神経内分泌、摂食行動を指標に検証を進める。 また、幼若期ストレスによるPrRP産生ニューロン-オキシトシン産生ニューロン-セロトニン作動性ニューロン回路の変容について、母子分離ストレスによる遺伝子発現の変化とニューロンの活動を検討する。一方で、幼若期にオキシトシンを投与したマウスの脳内の遺伝子発現を検討し、上記の回路を含めてどの様な変化が起こっているのかを検討する。
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Research Products
(7 results)