2011 Fiscal Year Annual Research Report
甲虫の角(ツノ)形成遺伝子ネットワークの進化メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Genetic bases for the evolution of complex adaptive traits |
Project/Area Number |
23128505
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
新美 輝幸 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (00293712)
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Keywords | カブトムシ / ツノ形成 / 進化 |
Research Abstract |
カブトムシおよびオオツノコクヌストモドキのツノ形成遺伝子の候補として、性的二型形成を司る性決定遺伝子doublesex(dsx)に着目した。RT-PCR法およびRACE法を用い全長cDNAの配列を決定した。その結果、いずれの昆虫においても、雌特異的なdsxには複数のスプライシングバリアントが存在するのに対し、雄特異的なdsxは雌のみがもつエクソンを欠失したバリアントであることが明らかとなった。さらに、雌雄で共通して発現するスプライシングバリアントが複数存在することが判明した。つぎに、各エクソンに特異的な配列にもとづき二本鎖RNAを合成し、larval RNAi法により機能解析を行った。その結果、いずれの昆虫においても雌雄共に同様の表現型が観察された。カブトムシの場合、性的二型を示すツノ、表皮表面構造、内部生殖器および交尾器についてRNAiによる表現型を観察した結果、交尾器以外は雌雄中間型の形態を示し、交尾器では雌に近い形態となることが判明した。また、オオツノコクヌストモドキの場合、頭部の性的二型形質である大顎、頬およびツノ様突起についてRNAiによる表現型を観察した結果、いずれも雌雄中間型の形態を示すことが判明した。以上の結果より、これらの昆虫がもつ性的二型形質は、まず雌雄に共通した未発達な状態の形態が獲得され、つぎに性決定遺伝子の制御を受け、雄型のDsxがより発達した形態の形成を促進し、逆に雌型のDsxがその形成を抑制することにより、雌雄で顕著に異なる形態が獲得されたと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での問題点などはなく、当初の計画通りおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
特に研究遂行上の問題点は現時点ではないため、予定通り研究計画を進める予定である。
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Research Products
(5 results)