2011 Fiscal Year Annual Research Report
性的二型と闘争・求愛行動の進化
Publicly Offered Research
Project Area | Genetic bases for the evolution of complex adaptive traits |
Project/Area Number |
23128511
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 隆嗣 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (70301223)
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Keywords | 行動進化 / 形態進化 / 性選択 / 遺伝子発現 / ショウジョウバエ |
Research Abstract |
動物のオスでは、体の一部が著しく発達するとともにその部位を用いた儀礼的な闘争行動や求愛行動を示す例がしばしば観察される。このような形態と行動の密接な関係は複合適応形質を構成しており、その進化には形態形成と神経機能という2つの異なる分子メカニズムが関与している。本研究ではキイロショウジョウバエの近縁種Drosophila prolongataを対象に、次世代シーケンサーによる発現解析を用いてオス特異的な形態と特徴的な闘争・求愛行動の進化に関わる遺伝子を同定することを目的とする。 本年度は行動の進化に関わる遺伝子の同定を目指し、主に成虫の脳における遺伝子発現解析を行った。D.prolongataに加え、比較対象として形態に雌雄差が無く闘争行動を行わない近縁種のD.kurseongensisおよび未記載種KB866を用いて、羽化後1週令の成虫から雌雄別に脳を取り出し、計6サンプル間でHiSeq2000によるRNA-seqを行いトランスクリプトームを比較した。またこれに合わせて454GS-FLX(titanium)による解析を3種の頭部由来転写物(雌雄プールしたもの)についても行い、HiSeqによるリードを解析する際の参照配列の生成に利用した。454データに関してはキイロショウジョウバエCDS配列への相同性検索によりほとんどのリードを仕分けることができた。HiSeqデータの予備的解析の結果、D.prolongataオスに特異的な発現量の違いのみられる遺伝子の候補を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、次世代シーケンサーによる発現解析から候補遺伝子を発見することができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
行動の進化について、得られた候補遺伝子の機能を主にキイロショウジョウバエを用いた検証実験により明らかにする。 並行して、形態の進化に関与する遺伝子についての探索を行う。
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Research Products
(1 results)