2011 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴに共生する褐虫藻類の比較ゲノム学的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Genetic bases for the evolution of complex adaptive traits |
Project/Area Number |
23128515
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Research Institution | 沖縄科学技術大学院大学 |
Principal Investigator |
將口 栄一 沖縄科学技術大学院大学, マリンゲノミックスユニット, グループリーダー (90378563)
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Keywords | ゲノム / 共生 / 褐虫藻 / サンゴ / 海洋環境系 / 渦鞭毛藻 / プラスチドゲノム / ミトコンドリアゲノム |
Research Abstract |
本研究では、沖縄の海に生息する2種類の褐虫藻類のゲノム(クレードAとクレードC)を次世代シーケンサーにより解読し、褐虫藻類クレードBのゲノムと比較する。その比較解析から褐虫藻の多様性についてゲノム科学的な理解を深め、海産無脊椎動物と褐虫藻類の共生進化メカニズムを、共生の成り立ち、保持、崩壊に注目して解明することを目指す。ゲノム間の比較を行う上で、始めによい比較の基準となるゲノムを得ることが重要である。それゆえ本年度は比較基準となるクレードBのゲノム情報を高精度にすることに集中して研究を行い、次のような研究成果を得た。約615Mbpのドラフトゲノム配列を得た。このドラフトゲノムには核ゲノム、ミトコンドリアゲノム、プラスチドゲノムの全ゲノムが含まれていた。そのゲノムには比較的イントロンの多い約6万の遺伝子がコードされていることを明らかにした。核ゲノム上の遺伝子群には隣あった遺伝子が同じDNA鎖にコードされているというクラスターを形成する傾向を発見した。RNAエディティングを受けている多くのトランスクリプトームを同定した。またゲノム配列の精度を高める上で必要となるクレードBのBACライブラリーを作成し、ゲノム支援の協力により、約3万のBACのエンド配列を決定した。共同研究者の協力を得て、データ公開用のゲノムブラウザーを作成した。平成24年度の研究の進展に向けてクレードAのゲノムのシーケンスデータ(約60Gbp)を得た。このように比較解析から褐虫藻の多様性についてゲノム科学的な理解を深める上での重要な基盤が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
褐虫藻クレードBのゲノム解読の論文を投稿する準備がほぼ終わった。これは今後の比較ゲノム解析にとって非常に有用なものである。一方で、クレードAのゲノム配列データは得られているものの、クレードBのゲノムとの比較を行うまでには至っていないのでやや遅れていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、褐虫藻クレードBのゲノム解読に関する論文の発表と学会発表を行う。クレードAとクレードCのドラフトゲノム配列を決定し、比較解析を進める。できるだけ早い段階でのゲノム配列データの公開を行う。研究計画の変更や研究を遂行する上での大きな問題点は特に見当たらない,
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