2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト大腸上皮培養による大腸癌幹細胞の分化破綻機構解析
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
23130506
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
土屋 輝一郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40376786)
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Keywords | 大腸上皮培養 / がん幹細胞可視化 / 炎症発がん / Atoh1 / 粘液産生がん |
Research Abstract |
本計画は同時に開発した大腸上皮細胞の初代培養系を応用し癌化モデルによる正常幹細胞由来癌幹細胞の形成を空間的・経時的に解析することで癌幹細胞の特異性、機能維持機構を解明することを目的とする。さらにヒト大腸上皮細胞も内視鏡からの生検検体を用いて培養することに成功し、疾患患者から直接上皮幹細胞の機能解析、癌幹細胞転換機構を解析することで病態の解明を目指している。今年度は計画に従いマウス由来大腸上皮の初代培養を行い、さらにLgr5プロモーター下GFPマウスによる初代培養での幹細胞可視化を行った。またin vitroにおける炎症発がんモデルを確立するため、初代培養細胞にAOM処理を行い、さらに種々のサイトカインにて刺激するなど条件検討を行っている。ヒトにおいては大腸内視鏡による生検検体からの上皮細胞単離および初代培養条件の検討を行い、効果的なヒト大腸上皮細胞培養の系を確立した。ヒト大腸上皮の幹細胞を可視化するため、ヒトLgr5プロモーター解析およびレンチウイルスによる初代培養細胞への遺伝子導入法を確立した。さらに炎症発がんの解析のため炎症性腸疾患患者の生検検体からの上皮培養にも成功し、上皮細胞形質の解析を進行している。また炎症発がんの特徴である粘液産生がんに着目し、粘液産生に寄与するAtoh1蛋白の機能解析を行い、粘液産生のみならずがん幹細胞性質、抗がん剤耐性機構まで関与することを明らかとした。 以上の成果は当初の研究計画をおおむね順調に遂行しており、ヒト大腸の初代培養の確立および幹細胞可視化への条件検討は炎症発がんのモデルだけでなく、種々の病態、疾患予測に有用であると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
独自に構築したマウス大腸上皮培養技術をもとにヒト大腸上皮培養の条件検討を行い、効率よい培養法法を確立できた。さらに初代培養へのレンチウイルスを用いた遺伝子導入法の構築やヒト大腸上皮幹細胞マーカーのプロモーター解析などがん幹細胞可視化に必要な技術を予定通り構築しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト大腸上皮培養に関しては幹細胞マーカーのプロモーター下にYFPを導入し、実際の可視化を試みるとともに、炎症性腸疾患患者の大腸上皮培養を用いたがん予測モデルの構築を行う。 上皮細胞の催がん性に関してはマウスモデルにより細胞レベルでの炎症発がんモデルを構築する予定である。
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Research Products
(14 results)