2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん幹細胞性獲得・維持機構とニッチシグナルのクロストーク
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
23130507
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
平尾 敦 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (90343350)
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Keywords | 白血病幹細胞 / 骨髄微小環境 |
Research Abstract |
本研究は、がん微小環境シグナルに支えられたがん幹細胞性獲得・維持メカニズムを理解することを目的とし、本年度は以下の2点を中心に研究を進めた。1)核小体蛋白Nucleosteminの発現を指標にした系(NS-GFP)によるがん細胞分化と微小環境の解析、2)mTOR シグナルとがん微小環境に関する解析。1)に関して、NS-GFP Tgマウスを用い、HoxA9/Meis1による急性骨髄性白血病(AML)モデル、あるいはMycによるB細胞性白血病(B-ALL)モデルを作成し白血病病態の解析を行った。その結果、AMLにおいて、GFPの輝度と移植後の白血病発症能との相関を認めた。B-ALLでは一部にGFPの発現の高い集団が存在していたが、白血病発症能との相関は認めなかった。しかし、興味深いことに、このGFP強発現白血病細胞集団は主に骨髄に存在し、一方で脾臓・末梢血では低頻度であるという特徴を示し、GFP強発現白血病細胞の生存は骨髄環境によって支持されていると推察された。今後、GFP強陽性白血病の特性を解明することによって、がん微小環境因子の理解が進む可能性が示唆された。2)に関しては、mTOR複合体1のコンディショナルノックアウトマウス由来AMLモデルを解析したところ、AML幹細胞は、骨髄微小環境下ではmTOR複合体1機能低下に抗して生存できることが判明した。このことから、骨髄環境は、白血病幹細胞の生存に必須の因子を供給していると考えられた。以上のように、本研究によって、がん治療法開発のため有意義な知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究推進に必要ながん微小環境を解析するツールを確立できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究でがん微小環境の重要性が確認できた。今後は、この解析系を用いて分子メカニズムを明らかにするように研究を推進する。例えば、網羅的解析も取り入れることにより、責任分子の特定が進むことが期待される。
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