2011 Fiscal Year Annual Research Report
白血病幹細胞の腫瘍免疫監視からの逸脱機序の解明およびその制御
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
23130509
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保仙 直毅 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (10456923)
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Keywords | 白血病 / 白血病幹細胞 / がん幹細胞 / 腫瘍免疫 / CD8T細胞 / 免疫監視 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
H23年度の達成目標として掲げた、目的1免疫監視機構から逸脱した白血病幹細胞を単離するためのマウスモデルの確立、目的2免疫監視機構から逸脱した白血病幹細胞に発現し、腫瘍免疫反応を抑制する分子の同定について、順調に准捗し、白血病幹細胞に発現する抗腫瘍免疫分子の候補を同定しつつある。まず、目的1については腫瘍免疫監視からの白血病幹細胞の逸脱機構を解析するためのモデルを以下のように構築した。Ovalbumin(OVA)を強制発現させたMLL/AF9白血病幹細胞は無処置の野生型マウスに移植すると拒絶されるが、非致死量(4.5Gy)放射線照射を行った野生型マウス(免疫担当細胞は減少しているが残存している)に移植すると白血病を発症することを見出した。そこで、得られた白血病細胞を非致死量放射線照射マウスに二次移植することを繰り返すと、やがて無処置の野生型マウスに移植しても白血病を発症するようになった。一方、免疫不全マウスをレシピエントとして同様に二次移植を繰り返しても、同様の現象は見られず、上記の方法によつて、免疫学的制御から逸脱した白血病幹細胞が得られたことが示された。次に、確立したマウスモデルにて得られた腫瘍免疫制御から逸脱した白血病幹細胞を抗原として、それに結合するモノクローナル抗体ライブラリー(約1050クローン)を作製した。その中から抗原特異的CD8T細胞に対する抑制性のsignalをブロックすると考えられる抗体をスクリーニングし、6候補抗体を得た。現在、マウス白血病由来cDNAライブラリーを用いた発現クローニングあるいは質量分析を用いて抗体が結合する抗原の同定を進めている。また、同様に腫瘍幹細胞に対する免疫制御を研究するための対象として、多発性骨髄腫、脳腫瘍における幹/前駆細胞の同定も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書にH23年度の業務目標として記した目的1,2をほぼ完了しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
現在同定中の候補抗原がユニークなものであれば予定通り、ヒト白血病への展開を目指し、目的3へと進む。ユニークな"抗免疫分子"が候補の中から得られない場合、目的1で確立した白血病幹細胞の免疫監視逸脱モデルを詳細に解析し、その逸脱メカニズムを分子レベルで明らかにすることを目指す。
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