2011 Fiscal Year Annual Research Report
乳がん幹細胞特異的マイクロRNAを指標としたニッチ関連細胞表面蛋白の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
23130510
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
下野 洋平 神戸大学, 医学研究科, 准教授 (90594630)
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Keywords | がん幹細胞 / 乳がん / がん関連線維芽細胞 / ネクチン様分子 |
Research Abstract |
本年度は、ヒト乳がん異種移植マウスの作成、樹立されたマウスにおける肺転移巣の検索、さらにヒト乳がん幹細胞に特徴的な細胞表面蛋白質の検索とそれらの蛋白質の発現制御へのマイクロRNAの関与の検討を行うため、以下の研究を計画し実施した。 (1) ヒト乳がん異種移植マウスの作成 ヒト乳がん異種移植マウスを作成するため、同意の得られた乳がん患者の手術検体を収集し、それらをマウスの乳腺領域に移植した。現在までに34症例の手術検体を移植し、そのうち計6例がマウスの乳腺領域へ生着した。これらの腫瘍は、ヒト乳がんに特徴的な4種の別々の組織型を示した。特に移植腫瘍の増大を認めた2例については、腫瘍組織の保存、継代、セルソーターによる解析を行った。また、あわせてがん関連線維芽細胞の分離培養を行った。 (2) ヒト乳がん異種移植マウスにおける肺転移巣の検索 腫瘍を継代した2例のヒト乳がん異種移植マウスの肺を組織染色にて解析したが、明らかな転移巣は認めなかった。あわせてこれらのマウスの肺、骨髄、肝臓などを酵素処理して単細胞浮遊液にして保存した。転移がん細胞をセルソーターにて効率よく検出する手法が確立し次第、これらの保存検体を用いてさらに詳細な検討を行う予定である。 (3) がん幹細胞に特異的な細胞表面蛋白質の検索および機能解析 がん幹細胞に特徴的に発現がみられるマイクロRNAを指標にして、細胞表面蛋白質候補の検索を行っている。ルシフェラーゼアッセイ法やウエスタンブロッティング法にて、これらのマイクロRNAの標的候補蛋白質の一つとして、ネクチン様分子が同定されたので、その発現抑制機構について解析を進めている。今後さらにがん幹細胞における発現や意義を解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳がん患者の手術検体を積極的に集めることにより、さまざまな組織型からなる一連のヒト乳がん異種移植マウスが樹立されつつある。一方、乳がん手術検体のマウスへの生着率の低さや、生着した腫瘍の増殖の遅さは研究を迅速に進める上では障害になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
樹立されたヒト乳がん異種移植マウスの腫瘍は、解析可能な大きさに成長するまでに数か月以上かかるため、継代を積極的にすすめながら解析可能な腫瘍の数を増やしていく必要がある。また、解析対象を広げるため、がん幹細胞特異的マイクロRNAの標的候補となっていない細胞表面蛋白質についても今後解析対象としていく予定である。
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Research Products
(8 results)