2011 Fiscal Year Annual Research Report
CML幹細胞における細胞周期解析と新治療法開発に向けた研究
Publicly Offered Research
Project Area | Development of Novel Treatment Strategies Targeting Cancer Stem Cells |
Project/Area Number |
23130513
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
松村 到 近畿大学, 医学部, 教授 (00294083)
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / 白血病幹細胞 |
Research Abstract |
慢性骨髄性白血病,CMLの治療において、チロシンキナーゼ阻害剤(TKIs)の登場は、それまでの治療薬をはるかに上回る効果をもたらし、その予後を劇的に改善した。しかしながらTKIs内服によりPCR法を用いても残存病変が検出できないレベルを維持している症例ですら、内服中止によりその多くが再発する。このことから、ヒエラルキーの頂点にあるCML幹細胞はTKIs抵抗性であり、体内に残存していると考えられる。本研究では、CMLの根絶に向けた取り組みとして、様々な機構を介して体内に残存するTKIs抵抗性のCML幹細胞の同定と、その特性の解析を行うことを目的としている。 本年度は、CML幹細胞に特異的な表面抗原の同定を目指し、初発時CML患者の骨髄を用い、single cell PCR法による網羅的表面抗原、内的因子の発現解析を行った。 本研究への同意を得た慢性期CMLの患者3症例の骨髄から、造血幹細胞を含むCD34+38-細胞を分離し、個々の細胞におけるbcr/ablの発現を評価し、bcr/abl陽性、陰性細胞における表面抗原を網羅的に比較解析することで、それぞれに特徴的な表面抗原を抽出した。その結果、症例間に共通して、bcr/abl陽性の細胞に特異的に発現している表面抗原が複数見い出された。興味深いことに、それらの中には細胞周期制御や細胞死に関わるサイトカイン受容体の共役分子として作用することが報告されているものも含まれていた。また、それらはこれまで国内外から報告されていないことから、CML幹細胞を同定する上での重要なママカーとなるだけでなく、新たな治療標的として有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.CML患者のCD34+CD38-細胞の細胞周期制御の解明と新たな治療法の開発 2.CML幹細胞に対して薬剤抵抗性をもたらす、逆に、細胞死を誘導する遺伝子群の同定 以上2点を平成23年度の目標に研究を行い、CML幹細胞を同定するための候補分子を複数同定することができた。その中には細胞周期制御や細胞死に関わるサイトカイン受容体の共役分子として作用することが報告されているものも含まれており、これらの分子のCML幹細胞における機能を解析することで目標を達成できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は引き続き、TKIs投与中の患者検体を用いることで、生体内に残存するCML幹細胞についての解析を進め、候補分子の絞り込みを行うと同時に、これら表面抗原の発現により分離した細胞を用いて、生体内での細胞周期の静止期維持機構、及び薬剤抵抗性の機構の解明に向け研究を進める予定である。
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