2011 Fiscal Year Annual Research Report
M期DNA損傷の修復系とDNA複製開始制御の連係機構の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Coupling of replication, repair and transcription, and their common mechanism of chromatin remodeling |
Project/Area Number |
23131512
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
西谷 秀男 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (40253455)
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Keywords | DNA損傷 / 修復 / DNA複製 / 細胞周期 / タンパク質分解 / ユビキチン |
Research Abstract |
複製のライセンス化因子Cdt1は、ユビキチンリガーゼにより素早く分解される。CRL4(Cul4-DDB1)-Cdt2によるCdt1の分解は、PCNAとの結合に依存しており、S期のみならずDNA損傷時にも起こる。M期細胞にUV照射後、G1期に進行させたとき、G1期移行に伴いCdt1が分解され、DNA複製のライセンス化であるMCMのクロマチン結合が抑制されていることを見いだした。M期DNA損傷がある状態で、次の細胞周期に進行する際、DNAの複製にどう影響を及ぼすか解析した。 1.M期に同調した細胞をUV照射し、リリース後、経時的にMCMのクロマチン結合とS期開始頻度を細かく調べたところ、UV照射強度に伴い、MCMのクロマチン結合の低下とG1期停止する細胞の増加が見られた。一方、G1期に進行した後にUV照射した場合は、MCMはすでにクロマチンに結合しており、S期に進行する細胞の頻度は高かった。チェックポイントChk1の活性化をChk1のリン酸化レベルで調べたが大きな違いは無く、G1停止の頻度の違いはライセンス化の頻度の低下が関わっているのではないかと考えられた。またM期にUV照射した細胞とG1期に照射した細胞では、M期細胞の方が、生存率が高かった。 2.DNA損傷後のCRL4-Cdt2によるCdt1の分解は、チェックポイント機能に依存しないと捉えられている。我々は、UV照射後のCdt1の分解は、NER(塩基除去修復)の過程で起こり、その際チェックポイントキナーゼATRがCdt1の分解において促進的に働くことを見いだした。ATRによるIn vitroでのリン酸化アッセイにより、Cdt2が特異的にリン酸化されることを明らかにした。 以上の結果を受け、M期にDNA損傷を受けた細胞において、CRL4-Cdt2によるCdt1の分解がライセンス化を抑制し、その結果S期進行を抑制することにより異常な複製による細胞死を防いでいる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
M期におけるDNA損傷が、DNA複製のライセンス化を抑制し、その結果細胞周期進行を阻止する制御機構を示唆する結果を得ることができた。また、ATRによるCdt2のリン酸化が、分解機能を促進するという新たな結果も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
分解されないCdt1を発現した場合、DNA複製にどのように影響し、細胞の生存に関わるのか明らかにする。 UVによるDNA損傷に限らず、抗がん剤のようなDNA損傷薬剤の効果も検討する。 細胞種による違い、特にp53の有無による応答の違いを調べたいが、薬剤による細胞同調によって、細胞の状態が悪くなり解析が難しい点もある。
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Research Products
(5 results)