2011 Fiscal Year Annual Research Report
胎盤のアロマターゼが性差発現に果たす役割についての個体発生・系統発生学的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms for establishment of sex differences. |
Project/Area Number |
23132503
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
生水 真紀夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30226302)
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Keywords | 性差 / アロマターゼ / アンドロゲン / 胎盤 / 外性器 |
Research Abstract |
胎盤アロマターゼ欠損症患者の観察から、胎盤のアロマターゼは外界のアンドロゲンを処理して胎児を環境アンドロゲン(ノイズ)から守ることで、内因性アンドロゲンによる性分化を保証していると理解される。この「胎盤アロマターゼは外因性アンドロゲン消去システムである」との考えを有胎盤類全体に広げて適用して、「有胎盤類の♀胎児の外性器はアンドロゲンの影響を受けて男性化しているが、系統発生に伴い胎盤アロマターゼ活性が上昇してその影響は小さくなり、霊長類では泌尿生殖洞の形態に最も近い外性器を獲得した」との仮説を立てることができる。本年度の研究では、この仮説を検証することを目指し、(1)有胎盤類の胎盤アロマターゼ活性と外性器表現型の相関、(2)比較ゲノミクス解析によるアロマターゼ遺伝子の進化の解析を行った。(1)では、有胎盤類(ウシ、イルカ、ヒト、マウス)について新鮮な胎盤を採取保存し、現在キツネザル、アカゲザルなど霊長類胎盤の入手を待っている。これまでに、胎盤アロマターゼ活性の測定法について、従来の^3H基質を用いた方法と^<14>Cを用いた新方法とを比較検討した結果、後者がinter assayに優れ、種間の比較に優れることが判明した。(2)について、アロマターゼ遺伝子の胎盤特異的プロモーターについての比較ゲノム解析を行った。その結果、このプロモーターは真猿類と新世界ザルとが分離した4000万年前に内因性レトロウィルス(MER21)のLTRが挿入されたことによると推定された。このウィルスは胎盤の合法体細胞の形成に重要な役割を果たすsyncytin2のコード領域との配列類似性が高く、胎盤特異的アロマターゼ発現は胎盤の形成と深く関わっていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
胎盤のアロマターゼの系統間比較のために代表的な種7種の採取を計画していた。このうちクジラやアザラシについては、採取が困難であったがイルカで代替させることで解析が可能となった。さらに、霊長類胎盤についても次年度繁殖期における採取にめどをつけることができた。比較ゲノム解析は、ゲノムデーターベースの公開されていない種があり、予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
胎盤組織の採取が終わり次第、アロマターゼ活性の測定を実施し、種間での比較可能なデーターを得る予定である。クジラについては、イルカで代用する。また、種間の比較を霊長類でも行うことで、副腎の系統発生との関連からも解析を進める。比較ゲノムに必要なゲノムデーターのうち、公開データーのないものについて、自力でシークエンスすることも視野において検討する。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Aromatase excess syndrome : identification of cryptic duplications and deletions leading to gain of function of CYP19A1 and assessment of phenotypic determinants2011
Author(s)
Fukami M, Shozu M, Soneda S, Kato F, Inagaki A, Takagi H, Hanaki K, Kanzaki S, Ohyama K, Sano T, Nishigaki T, Yokoya S, Binder G, Horikawa R, Ogata T
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Journal Title
J Clin Endocrinol Metab
Volume: 96
Pages: E1035-43
Peer Reviewed
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[Presentation] エストロゲンによる間脳下垂体性腺系抑制機構の解明アロマターゼ過剰症男性患者18例の分子遺伝学的および臨床的解析2011
Author(s)
深見真紀, 生水真紀夫, 花木啓一, 佐野友昭, 西垣敏紀, 稲垣朱実, 高木博史, 堀川玲子, 神埼晋, 大山建司, 緒方勤
Organizer
第84回日本内分泌学会学術総会
Place of Presentation
神戸国際会議場
Year and Date
2011-04-22