2011 Fiscal Year Annual Research Report
ホルモン依存性の性差を生み出すエストロゲン受容体核内・核外作用機構の総合的解明
Publicly Offered Research
Project Area | Molecular mechanisms for establishment of sex differences. |
Project/Area Number |
23132506
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東 浩太郎 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (30401110)
|
Keywords | エストロゲン受容体 / 核外作用 / 核内作用 / 次世代シーケンサー |
Research Abstract |
本研究は、性差を構築・維持するうえでのエストロゲンの作用を核内作用・核外作用の両者を統合し、総合的な視点からとらえることを目的としている。骨・軟骨組織由来の細胞をエストロゲン標的のモデルとして用い、新規の核内作用、核外作用の同定および、核内作用と核外作用の双方向的な協調作用の検証を行う。さらに新規の核内作用を解析するにあたり、次世代シークエンサーを用いたRNA sequencingの手法を用い、蛋白に翻訳されない機能的なRNAとして報告されたばかりのlong non-coding RNAがエストロゲンにより誘導され、性差を生じるメカニズムになりうるかという仮説を検証する。 平成23年度における核内作用の研究としては、マウスの初代培養骨芽細胞にエストロゲン処理を行って抽出したRNAを本領域会議のネットワークを利用し九州大学の大川先生の研究室にて次世代シークエンサー解析を行っていただいた。現在、データ解析を行い、新規応答遺伝子およびlong non-coding RNAの誘導の同定作業を進めている。さらに、マイクロアレイにて同定した骨芽細胞における新規エストロゲン応答遺伝子を恒常的に発現する株を骨芽細胞株MC-3T3-E1を用いて樹立中である。 核外作用に関しては、膜移行性のエストロゲン受容体を恒常的に発現する内因性エストロゲン受容体陰性の乳癌細胞株MDA-MB-231を作成し、エストロゲン刺激下にRNAを抽出。マイクロアレイ解析を行った。これにより核外作用が核内の転写状態に及ぼす影響を解析中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞株の樹立および次世代シークエンサーによる解析までは計画通り進行している。今後明らかになる実験結果により、以降の研究の進行が左右されると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次世代シークエンサーを用いて新規応答遺伝子が同定されれば、機能解析を行う。また、次世代シークエンサーでしか同定できないlong non-coding RNAのエストロゲンによる誘導が認められれば、そのvalidationをqRT-PCR法にて行い、遺伝子導入やRNAiによる転写抑制実験により生物学的意義を検討する。骨芽細胞において過去に同定した新規応答遺伝子に関しては、過剰発現の系を用いて、生物学的意義の解析、局在や結合分子の同定による、より詳細な作用メカニズムの解明を目指す。乳癌におけるエストロゲンの核外作用から核内転写に及ぼす影響に関しては、パスウェイ解析の手法も取り入れ、どのようなシグナル伝達系に影響を及ぼしているかを解析予定である。
|