2011 Fiscal Year Annual Research Report
強直性脊椎炎病因蛋白質HLA-B27ホモ二量体の立体構造解析
Publicly Offered Research
Project Area | HLA polymorphism, disease and evolution |
Project/Area Number |
23133501
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
黒木 喜美子 北海道大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (90553313)
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Keywords | HLA-B27 / ホモ二量体 / 強直性脊椎炎 / 構造解析 / LILR |
Research Abstract |
本申請の目的は、異常型HLA-B27重鎖ホモ二量体が、LILR群との相互作用により強直性脊椎炎(AS)の病態を引き起こす分子機序を立体構造解析の観点から明らかにすることである。本課題に関しては、LILRB2がホモ二量体と結合し、その結合はAvidity効果を示す強い結合であることを明らかにしてきた。本申請でLILR群との分子認識を相互作用解析・立体構造解析により解明することはAS治療・創薬につながる基礎データとなる。 B27ホモ二量体とLILRB2の相互作用解析において、その結合はホモ二量体が提示するペプチド依存的であることを示唆する初期データが得られていたが、本年度、再度各ペプチドを用いてB27ホモ二量体タンパク質を調製し、質量分析を行なった結果、ホモ二量体にペプチドは実際提示されていないことが新たに分かった。今後、速度論的、熱力学的相互作用解析を進め、より詳細な解析を行う。 また、B27ホモ二量体単独およびLILRB2との複合体の結晶構造解析を試みた。B27ホモ二量体とLILRB2は高濃度で混合すると、大部分が沈殿していたが、より高いpHで混合することにより、複合体の沈殿を避けれることがわかった。今後、複合体の結晶構造解析を進める予定である。Oxford大学との共同研究により、B27ホモ二量体特異的な抗体との共結晶化も行う予定である。 また、15NラベルLILRB2のNMRスペクトルの改良も溶液条件の検討を重ねることによって、より良い主鎖ピークを得られるようになってきたため、さらに溶液条件の検討を進めながら、主鎖ピークを各アミノ酸に帰属することによって、NMR解析によるホモ二量体との結合領域の同定を引き続き進めていく。 さらに、電子顕微鏡解析によるB27ホモ二量体の構造解析も開始し、通常のHLA-B27とのドメイン配向の違いなどを明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HLA-B27ホモ二量体形成時にはペプチドを提示していないことが明らかになった。このことから、AS発症におけるペプチドの関与は通常のHLA-B27において重要で、ホモ二量体はペプチドに依存せず発症に関与している可能性が示唆された。今後受容体との詳細な解析を行う予定である。構造解析においても、結晶化スクリーニングとともに、他の手法としてNMRおよび電子顕微鏡解析を開始することができた。各手法で得られたデータを集約し、考察することでB27ホモ二量体とLILRとの分子認識機構が明らかになると予想される。このように、来年度継続すべき結果を初年度に得ることができたため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、LILRB2とHLA-B27ホモ二量体との相互作用解析および立体構造解析を進める。 相互作用解析は、BIAcore3000を用いた相互作用解析とともに、等温滴定カロリメーターを用いた熱力学解析も行い、分子認識機構を明らかにするとともに通常のHLA-B27との比較を行う。 構造解析においては、初年度に引き続き、HLA-B27ホモ二量体およびLILRB2との複合体の構造解析をX線結晶構造解析、NMR解析、電子顕微鏡解析を駆使して進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)