2011 Fiscal Year Annual Research Report
抗原トリミングアミノペプチダーゼの作用メカニズムと制御
Publicly Offered Research
Project Area | HLA polymorphism, disease and evolution |
Project/Area Number |
23133504
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
服部 明 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50300893)
|
Keywords | アミノペプチダーゼ / 小胞体アミノペプチダーゼ / 抗原ペプチド / 強直性脊椎炎 / 一塩基多型 / HLA / マクロファージ / 小胞体貯留 |
Research Abstract |
小胞体アミノペプチダーゼ(ERAP)-1遺伝子上の一塩基多型(SNP)のうち、528ArgおよびGlu730をコードする非同義置換型の多型は、ヒト白血球抗原(HLA)依存型(HLA-B27と高い相関をもつ)自己免疫疾患病である強直性脊椎炎の原因遺伝子として同定されている。そこでSNP型のリコンビナント酵素を作製し、その抗原ペプチド生成能を検討した。その結果、いずれの酵素もHLA-B27提示抗原前駆体ペプチド(LSRHHAFSFR)から成熟エピトープ(SRHHAFSFR)への変換能が野生型と比較して低下していた。その原因の一つとして、各SNP型酵素が本前駆体抗原ペプチドによる基質阻害を受けることによるものと考えられた。このことと良く相関して、HeLa細胞を用いた細胞表面HLA-B27量もLys528ArgおよびGln730Glu型ERAP-1導入遺伝子によって低下していた。また、ERAP-1の活性を上昇させるペプチドの存在も明らかとなってきた。そこで活性化ペプチドの一つであるペプチド(SIINFEKL)による活性化の程度を比較検討したところ、SNP型酵素間で活性化ペプチドに対する感受性が大きく異なることも明らかとなった。すなわち、SNP型ERAP-1酵素間では酵素学的性状に差異が認められ、それが強直性脊椎炎の発症に寄与している可能性が強く示唆された。 ERAP-1とERAP-2の酵素学的性状を82種類の人工蛍光基質からなる基質パネルによって比較検討した結果、基質プロファイルに著しい差異が認められた。この際は、各酵素のS1ポケットの構成アミノ酸に起因していると考え、両酵素が小胞体内腔において別々の抗原ペプチドの生成に関与していることを示唆している。 さらにマクロファージのERAP-1が特定の刺激(LPSとIFN-γ)によって、小胞体内腔から細胞外へと分泌されることを見出した。本分泌機構の詳細を解明することで、ERAP-1の小胞体貯留機構の解明に重要な示唆を与えることが期待される。 点変異導入実験により、Laeverinの基質特異性発現にはS1ポケット内のGln238の役割が重要であることも明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
リコンビナント酵素を用いた抗原ペフチド消化能の解析は十分な成果が得られていると考えられる。また、次年度の解析に向けた細胞株の作製なども着実に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画通りに進める。
|
Research Products
(8 results)