2011 Fiscal Year Annual Research Report
がん治療抵抗性のシステム的解析
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Systems Understanding of Cancer for Advanced Diagnosis, Therapy and Prevention |
Project/Area Number |
23134502
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
北嶋 繁孝 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30186241)
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Keywords | ストレス応答 / がん治療 / 転写因子 / p53 / ATF3 / システムズ解析 |
Research Abstract |
ストレス応答転写因子ATF3はp53の標的遺伝子でありp53の下流で「がん抑制遺伝子」として機能するが、ヒト前立腺がん、ホジキンリンパ腫、ATLなどで「発がん遺伝子」としても機能する。がん細胞のストレス応答が抗がん剤への抵抗性を決めていることから、種々の抗ガン剤に対するストレス応答の異常を知ることは極めて重要であり、システムズ解析による統合的アプローチは有効である。 我々は、本研究において、ヒト大腸がん細胞株とポジキン細胞株を用いたシステムズ解析により、ATF3が多くのp53標的遺伝子の発現制御に関わり、「がん抑制」と「発がん」において、これら標的遺伝子を逆方向に制御することを明らかにした(PLoS One 2011)。さらに、Atf3、p53のノックアウトマウスを作製し、その初代培養系マウス繊維芽細胞(MEF)を用いて、抗がん剤Doxorubicin応答の網羅的発現アレイ解析によるデータベース作成と、自然発生腫瘍作成率など生物学的解析を行った。 その結果、1)ATF3はp53の有無によって標的遺伝子の活性化と抑制と異なった制御を行うこと、 2)標的遺伝子は、ATF3、p53の有無によって特徴ある4つのクラスターに分類できること、 3)MEF培養系の解析から、ATF3、p53が協調的に細胞死を制御していること、 4)Atf3/p53ダブルノックアウトマウスは、胸腺腫などの腫瘍が発生するものの、p53単独ノックアウトよりも寿命が低いことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的を達成するための初年度実績としては順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
正常細胞vsがん細胞のストレス応答の比較研究を進める目的で、適切な細胞の検索を進め、ヒト乳がん細胞を使うことを検討している。乳がんではATF3遺伝子の増幅が報告されていること、マウスATF3 Tgモデルで乳がんが発生することも乳がんを用いる根拠である。
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Research Products
(9 results)