2011 Fiscal Year Annual Research Report
メタボロームを代謝ネットワークへ統合する数理モデルの開発
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Systems Understanding of Cancer for Advanced Diagnosis, Therapy and Prevention |
Project/Area Number |
23134506
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
倉田 博之 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 教授 (90251371)
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Keywords | 代謝システム / 流束 / 遺伝子発現 / 制御 |
Research Abstract |
化学量論式に基づくアルゴリズムをさらに発展させて,がん細胞のメタボロームデータを代謝流束解析に統合する数理モデルを開発した。細胞内において測定の難しい動力学パラメータ値を用いないことに独創性と特色がある。提案した数理モデルを実装する代謝システム予測シミュレータを開発して,がん細胞特異的な酵素活性分布や代謝流束分布変化を予測した。代謝酵素遺伝子群やそれらを調節する遺伝子群を創薬対象にして,がん細胞を制御する新規戦略を提案し,「システムがん」研究の発展に貢献する。 平成23年度は,ヒトの代謝パスウエイと関連の遺伝子調節ネットワークを構築して,代謝反応の化学量論式モデルを作成した。トランスクリプトームやメタボロームの実験データを収集した。定常状態において,メタボロームを化学量論式モデルに統合して,酵素遺伝子発現分布の変化を予測する数理モデルを開発した。具体的には,代謝流束分布ベクトルと代謝物濃度データを関係づけるための新規な行列を導入して,定常状態における代謝流束の収支式を作成して,それを拘束条件とした。この拘束条件下でがん細胞に適合する目的関数を発見して,それを最適化することによって代謝酵素濃度分布の変化をシミュレーションを実施した。数理モデルの特徴は,測定の困難な動力学的パラメータを利用しないことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度計画に沿ってほぼ実行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通り実行する。生物情報にもとづく,精密なネットワークマップ作成に力点をおく。
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