2012 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸化プロテオミクスを用いたがん細胞特異的シグナル伝達機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Systems Understanding of Cancer for Advanced Diagnosis, Therapy and Prevention |
Project/Area Number |
23134507
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 直幸 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50545704)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | がん / プロテオミクス / シグナル伝達 / リン酸化タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞では、チロシンキナーゼ受容体の過剰発現や調節機構の損失などにより正常細胞と比較して細胞分裂に関わる様々なシグナル伝達経路が活発化している。本研究では、ナノ液体クロマトグラフィー-質量分析法(nanoLC-MS/MS)を用いたリン酸化プロテオーム解析によりタンパク質のリン酸化を網羅的に同定、定量し、がん組織に特異的、または過剰に亢進しているシグナル伝達経路や関与するプロテインキナーゼを明らかにすることを目的とする。 本年度では、前年度において最適化を行った組織からのタンパク質抽出方法を用いて、がん組織および正常組織中における代謝酵素の定量解析およびリン酸化プロテオーム解析を行い、がん組織において発現量が変動している代謝酵素およびリン酸化量が変化しているタンパク質の同定、定量を行った。同一器官でタイプの異なるがん組織の解析の結果、組織の違いにより解糖系やクエン酸回路に属する代謝酵素の発現量の変動に相違が観測された。同様にリン酸化プロテオーム解析においても、がんのタイプによりリン酸量の変化が見られるタンパク質が異なっており、発癌機序の違いによるシグナル伝達経路への影響をリン酸化プロテオーム解析により観測可能であることを示した。 また、リン酸化プロテオーム解析によって得られた情報を可視化する手段として、細胞内の各プロテインキナーゼとその基質タンパク質間に見られるネットワークを予測し、リン酸化プロテオーム解析の定量結果を図として表示するデータ解析ツールの作成を行った。キナーゼ-基質間の関係性の予測には、タンパク質間相互作用やリン酸化モチーフなどの情報を利用した。上述の実験結果において、がん組織でリン酸化の亢進が観測されたタンパク質群に対し責任キナーゼを推測することで、がん特異的なシグナル伝達経路を抽出した。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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