2012 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質間相互作用ネットワーク解析によるがん個性の理解
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative Systems Understanding of Cancer for Advanced Diagnosis, Therapy and Prevention |
Project/Area Number |
23134510
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤森 茂雄 東京大学, 医科学研究所, 特任研究員 (90542241)
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Project Period (FY) |
2011-07-01 – 2013-03-31
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Keywords | バイオインフォマティクス / タンパク質間相互作用 / 相互作用ドメイン / 相互作用領域 / In vitro virus |
Research Abstract |
様々な個性を持つがん細胞をシステムとして理解するためには、個々のがん細胞のタンパク質問相互作用(protein-protein interaction;PPI)ネットワークを大域的かつ正確に把握するためのインタラクトーム解析手法が必要になる。本研究課題では、PPIを効率的に解析できる独自の実験手法(in vitro virus法;IVV法)を有する研究者や、がん細胞のモデル実験系を有する研究者と連携し、実験によるデータとスパコンを活用した新たながんインタラクトーム解析の確立を目指して研究を行なっている。24年度は以下の三点について進展があった: (1)IVV法と次世代シーケンサの融合技術であるIVV high-throughput sequencing(IVV-HiTSeq)法の開発を行った。IVV法はmRNAディスプレイ技術の一つであり、核酸(mRNA)情報によってタンパク質を解析することが出来る技術であり、代表者らはこの特性を利用して従来困難であった次世代シーケンサによるPPI解析を実現させた。また、PPI検出実験の信頼性および効率が大幅に向上することを確認した。 (2)IVV法は、PPIに加えてタンパク質の「相互作用ドメイン」情報を一度に解析できるインタラクトーム解析技術であるため、がん細胞に起きている異常(DNA変異など)とPPIの関連を詳細に解析するのに適した情報を提供することができる技術である。代表者らは、相互作用ドメイン情報とDNA変異などの各種データを統合し解析するための基盤として、ウェブデータベースの開発を行った。 (3)薬剤耐性の異なる2種類のがん幹細胞について、抗癌剤処理後のインタラクトームおよびトランスクリプトームの経時的な変化の違いを明らかにするため、抗癌剤処理後のRNAを経時的にサンプリングした(0.5-7.5h:1h毎)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で述べたとおり、24年度は(1)インタラクトームデータを産出するための新たな方法の開発(IVV-HiTSeq法の開発)、(2)産出されるデータを解析するための基盤確立(ウェブデータベースの開発)、(3)データ取得実験に用いるためのサンプルの準備(2種類のがん幹細胞についての抗癌剤処理後のRNAサンプルの取得)を行っており、目的を達成に向けて十分な進展があったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度に取得したがん幹細胞のRNAサンプルを用いてマイクロアレイ実験を行い、トランスクリプトームデータを取得する。次に、それらの情報解析の結果から得られた重要な分子群について、IVV-HiTSeq実験のベイトとしてPPI検出実験を行う。得られたPPIネットワークに遺伝子発現情報を重ねあわせ、抗癌剤応答後のインタラクトームの動的変化の細胞による違いをネットワーク特性(中心性、スモールワールド性など)の観点から解析していく。また、IVV-HiTSeq法で得られる相互作用領域情報を利用し、ネットワークに変化を生じさせるがんの変異やスプライスバリアントについても探索を行う。
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[Presentation] Development of a high-throughput interactome analysis pipeline for understanding cancer stem cell characteristics2012
Author(s)
Shigeo Fujimori, Hiroyuki Ohashi, Yukiko Kawabata, Naoya Hirai, Takatsune Shimizu, Hideyuki Saya, Rui Yamaguchi, Seiya Imoto, Satoru Miyano, Etsuko Miyamoto-Sato
Organizer
The 19th East Asia Joint Symposium
Place of Presentation
ソウル(ソウル大学Mokam Hall),韓国
Year and Date
20120822-20120825
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