2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの質感認知の脳神経メカニズムに関する臨床的研究
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
23135502
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 匡子 山形大学, 医学系研究科, 教授 (20271934)
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Keywords | 質感 / 視覚性失認 / 局所脳損傷 / 触覚性失認 / 後頭葉 |
Research Abstract |
今年度はまず、画像による視覚性質感認知に関する課題を作成し、局所脳損傷患者に対して施行した。その結果、病巣の広がりにより質感認知への影響は異なり、質感認知と形態認知の機能は乖離することが明らかになった。 生理研の小松教室より提供していただいた画像刺激9種類(石、金属、陶器、ガラス、木目、木の皮、布、毛皮、皮革)を用いて、素材呼称課題、素材弁別課題を作成した。対照として無意味図形の形態弁別課題を作成し、基本的な視機能は高次視知覚検査にて測定した。局所脳損傷患者で検査への同意を得られた方を対象にこれらの課題を施行し、高次視覚機能と病巣との関連を検討した。 物体・図形の形態認知は良好なのに対し、全ての素材に対する質感認知が著しく障害されている症例は1例で、質感失認と考えられた。色、相貌の認知も低下していた。病巣は右外側後頭頭頂葉および左後頭葉内側の一部を含んでいた。さらに、一部の素材の質感認知に障害が認められ、形態認知は保たれている症例があり、右後頭頭頂葉の広汎な病巣を認めた。一方、質感失認例と対称的な病巣(右内側後頭葉から頭頂葉にかけておよび左外側後頭頭頂葉)をもつ症例においては、明らかな質感認知障害を認めなかった。また、頭頂葉に限局した病巣を持つ症例では、形態認知、質感認知ともに保たれていた。以上より質感認知と形態認知の機能は乖離し、近接しながらも異なる領域が関与していることが示唆された。 視覚と触覚のクロスモーダルな質感認知の検討を進めるため、今年度は実物刺激の作成も進め、小松教室の動物実験とも対応がとれる形での刺激を準備することができた。今後、脳損傷患者において、画像および実物についての質感認知の検討をさらに進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳損傷患者を対象にした画像による質感認知の検討を進めており、病巣による障害の差異があきらかになりつつある。また、実物刺激による視覚、触覚を通した質感認知についても検討を進めるため、小松班の動物実験で用いている刺激とほぼ同等のものを作成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作成した実物刺激を用いて、脳損傷患者において触覚性、視覚性に質感認知の異常を明らかにし、クロスモーダルな質感認知、およびその神経基盤について検討を進める。対象症例を確保するために4施設で同一の基準で検査を遂行できるようにしていく。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Severe olfactory dysfunction is a prodromal symptom of dementia associated with Parkinson's disease : a 3-year longitudinal study2012
Author(s)
BabaT, Kikuchi A, Hirayama K, Nishio Y, Hosokai Y, Kanno S, Hasegawa T, Sugeno N, Konno M, Suzuki K, et al
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Journal Title
Brain
Volume: 135
Pages: 162-169
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] 視覚性認知障害2011
Author(s)
鈴木匡子
Organizer
第35回日本神経心理学会
Place of Presentation
宇都宮栃木県総合文化センター(招待講演)
Year and Date
20110915-20110916
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