2012 Fiscal Year Annual Research Report
漆黒の質感 ー黒うるしの表面特性とその感性評価ー
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
23135504
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
阿山 みよし 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30251078)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 黒漆 / 黒み知覚 / 質感 / 艶 / BRDF / 光沢 |
Research Abstract |
近年プロの目を満足させるディスプレイ仕様に関する研究が様々な視点から行われている.本研究では,漆器製作経験者と非被験者に対して黒漆器椀の塗料・素地・艶の判別実験を行い,被験者群間の相違について検討した.同時に,素材判別に必要な情報を明らかにするため,様々な物理特性の計測を行った. 実験刺激として同じ形の黒い漆器椀を8個用意した.漆器椀には塗料として国産天然漆とカシューを用い,それぞれ艶ありと艶消しを用意した.素地としては天然木,集積材,プラスチックを使用した. 実験の手順は最初に実験刺激を見るだけで判断する「見るだけ条件」を行った.次に実験刺激を自由に観察できる「見て触る条件」を行った.実験結果より,両被験者群ともに後者の方が成績が良かった. 物理特性との関係では,漆器椀内部の輝度コントラストに塗料による相違が見られた.まずは輝度分布を測定し漆器椀内部の立ち上がり部分に該当する底面,側面の平均輝度をLB,LSとし,(LB-LS)/LBを輝度コントラストとした.天然漆はカシューより高い輝度コントラストであった.これより経験者は,天然漆とカシューを判別する際に,漆器椀内部の輝度コントラストの微小な違いを用いている可能性がある.他にも,BRDF,表面粗さ,重さ,厚みの計測を行った.BRDFは艶の判断に,表面粗さ,重さ,厚みは触感に関係していると考えられる. 漆器椀判別実験の結果では,全ての試行において経験者群は非経験者群より高い正解率となった.経験者は優れた判別力を持っていると考えられる.物理特性の計測より,経験者は視覚情報としては漆器椀内部における輝度コントラストの微小な違いを用い,それに他の情報を加えて天然漆とカシューを判別している.
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Current Status of Research Progress |
Reason
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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