2011 Fiscal Year Annual Research Report
視覚情報がアクティヴタッチによる質感に与える影響
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
23135508
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
勝山 成美 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (00291906)
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Keywords | アクティヴタッチ / 多感覚統合 / 触知覚 / 身体所有感 / マグニチュード推定法 |
Research Abstract |
初年度は、視覚情報がアクティヴタッチによる質感知覚に与える影響について調べるため、心理物理実験を行なった。健常被験者23名を対象とした。机の上に置いた被験者の両手の間に鏡を置き、被験者から見て、左手の鏡像が右手の位置に重なるようにした。それぞれの手で硬さの異なるスポンジを同時にゆっくりと押し、右手で知覚されたスポンジの硬さを数値で回答してもらった(マグニチュード推定法)。この時、右手には常に同じ硬さのスポンジが呈示されたにもかかわらず、それより硬いスポンジを押している左手の鏡像を見ている時には右手のスポンジも有意に硬く知覚され、逆により柔らかいスポンジを押している鏡像を観察すると右手のスポンジも柔らかく知覚された。このような触知覚の変化は目を閉じてスポンジを押した時や、直接、スポンジを押している右手、または左手を見ながら行なった時は観察されなかった。また、鏡の向きを反転させて右手の鏡像を左手の位置に重ねて同様の実験を行なうと、左手で触知されるスポンジの硬さに同様の変化が観察された。 鏡像を見ながらスポンジを押している時、被験者は鏡像の左手(または右手)を、自分の本物の右手(または左手)のように感じていたことがわかった。しかし、この感覚は両手で交互にスポンジを押すと消失し、右手(または左手)の硬さの知覚の変化も生じなかった。また実験中、左右の手の位置感覚に変化はなかった。以上の結果から、アクティヴタッチによる触知覚においても、指からの体性感覚の情報に加えて視覚情報が重要な役割を果たすこと、またそれには鏡像の手を自分の手のように感じること(身体所有感)が重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、初年度に心理物理実験を行ない、次年度に機能的MRI実験を行なう計画であるが、平成24年3月までに心理物理実験は終了し、その成果をもとに機能的MRI実験の計画を立案中であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
心理物理実験により、視覚刺激がアクティヴタッチによる物体の硬さ知覚に影響を与えることが明らかとなった。この結果をふまえ、視覚情報と指からの体性感覚情報が統合され、アクティヴタッチによる触知覚の成立に関与する脳部位を、健常被験者による機能的MRI実験で明らかにする。
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