2011 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚変形レベルでの質感解明:質感を際立たせる触覚テクスチャ合成法の確立
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
23135514
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岡本 正吾 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10579064)
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Keywords | ハプティクス / 振動触覚刺激 |
Research Abstract |
1)触感の素材らしさに対応する皮膚変形の基底を特定 布や紙などの十種類程度の素材(テクスチャ)をなぞった時に生じる皮膚変形の時系列データを近似的に計測した.この変形データの振幅スペクトラムから,触覚に関する機械受容器の周波数応答特性を考慮した特徴量ベクトルを生成した.これらのベクトルを固有ベクトル分解によって,直交基底へと分解した.これらの基底で定義される空間に,素材を配置した.この空間の中で,テクスチャを加工する手法を開発した.この手法を用いれば,テクスチャを素材の名称を用いて加工することできるようになる.例えば,テクスチャを「木材らしく」や,「布らしく」加工するなどと,特定の素材の性質を規範とすることが可能である.加工された仮想テクスチャは,振動を用いた触覚ディスプレイ(平成23年度に開発)を用いて,実験の被験者に提示された.その結果,予備実験のため,小数の例についてではあるが,テクスチャが特定の素材を規範に加工されることが明らかになり,手法の有効性が確認された. 2)テクスチャの情報圧縮技術の開発 触覚の知覚特性を陽に組み込んだ,テクスチャの非可逆情報圧縮技術を開発した.平成23年度は特に,テクスチャをなぞった時に生じる皮膚変形の時系列データ(先と同様に近似的に計測されたもの)を周波数空間で量子化する手法を開発した.圧縮の効果を,振動触覚ディスプレイを用いて検証した.その結果,この手法は,主観的品質を維持したまま,そのデータサイズを元の1/4程度に圧縮可能であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は当初の予定通り,実験装置の開発・改良および,核となるアイディアの実装と,小数サンプル(小数の例と小数の実験被験者)での予備実験による検証を行った.その結果,開発した実験装置を用いて,アイディアの有効性を確認することができた.この点において,交付申請書の研究目的を順調に遂行している.
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Strategy for Future Research Activity |
予備実験の結果の詳細な解析と,サンプルの追加による実験結果の統計的検証が必要である.次年度は,開発した手法を用いて,仮想テクスチャの質感をどの程度加工可能であるかを調査し,その有効性と制限を統計的根拠を伴って明らかにする.また,平成23年度に開発した振動所覚ディスプレイが摩擦により推力を発生させられない事例があることを発見したが,これの改良を行う計画である.
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