2011 Fiscal Year Annual Research Report
質感の変化による選好性の変化と前頭葉眼窩部の役割
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
23135518
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船橋 新太郎 京都大学, こころの未来研究センター, 教授 (00145830)
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Keywords | 視覚刺激 / 選好性 / 質感 / 前頭葉眼窩部 / 感情 / 好感情 |
Research Abstract |
気に入った風景の場所に行けば、何時間でもそこに件んでいられるし、気に入った音楽ならば何度聞いても飽きない。好きな絵画、好きな風景、好きな音楽は、私たちの情動系に働きがけ、心地よき、快感、喜びなどのpositiveな感情を生み出す。しかし、同じ絵画や彫刻であっても、光の当て方や写真の撮り方により、物の表面の明るさ、色味、光沢、粗さなどを変化させると、同じ物であっても印象が変化し、好みも変化する。本研究では、物の質感の変化がその選好性に与える変化と,このような選好性の変化を生じる神経メカニズムに注目して研究を実施しようと計画した。 先行研究で、約300種のフラクタル図形を使用し、これらの図形に対するサルの選好性を行動実験により検討した。ランダムに選択した2枚の図形をモニター上に同時に呈示し、サルが一方の図形を1秒以上見続け、さらにモニター中央に呈示されたその図形を最長12秒間見続けた場合、その図形は選択されなかった図形に比べて選好性が高いと判断した。その結果、図形によって選好性の強さに違いが見出されたが、図形に対する選好性はセッションを通して維持されるこ、とがわかった。 今回、様々な視覚刺激をFMD Databaseの中から50枚選択し、先行研究と同様の方法を用いて選好性を検討した。同時に、同一刺激を用いて、色付き条件vsモノクロ条件、細密条件vs粗大条件、輪郭の明確さ、異なる条件でのサルの刺激選好性を、検討した。その結果、サルにより刺激の選好性が異なるが、2頭のサルで検討した結果、光沢のある刺激で、全体として明るく、豊かな色彩をもつ刺激を好む傾向が強いこと、また、2頭のサルで選好性に違いが見られることなどが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視覚刺激の選好性を左右する刺激特徴を行動実験で明らがにすることができた。また、このような刺激特徴が個体によりどのように異なるのか、どの刺激特徴が個体差の影響を大きく受けるのかを明らかにすることができた。これにより、どの個体には、どの刺激を使用し、どの刺激特徴を変化させることにより刺激に対する選好性を変えることができるのかが明らかになったことから、選好性発現の元になっている神経機構の解明に向けた準備が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
行動実験で得られた50種類の視覚刺激に対する選好性の強さの違いと、その強さを変動させる刺激特徴をもとに、各動物ごとに実験で使用する刺激セットを準備し、刺激選好性発現に関わる神経メカニズムを前頭葉眼窩部から記録される単一ニューロン活動の解析により解明を試みる。
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Research Products
(7 results)