2011 Fiscal Year Annual Research Report
大きさの知覚:恒常性、錯視、質感情報との相互作用
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
23135522
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 一郎 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (60181351)
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Keywords | 大きさの知覚 / 大きさ知覚の恒常性 / V4野 / 単一神経活動 / ランダムドットステレオグラム / 質感 / 神経回路モデル / 霊長類大脳皮質 |
Research Abstract |
物体の大きさ、形、色、テクスチャー、位置、奥行き、動きなどの視覚属性は、我々が世界を理解し適応的に行動する際の重要な情報である。本研究では、基本的な視覚情報でありながら脳がどう処理しているかがほとんど未解明である「大きさ」の知覚のメカニズムを探求する。とくに、霊長類大脳皮質V4野が大きさの知覚に関わることの細胞レベルの証拠を得ることと、大きさ情報と質感情報(特に色)の間の相互作用の脳内機構を明らかにすることを目指す。 本年度は特に、視覚対象の大きさに関する情報と距離に関する情報の相互作用の実体の解明をめざす。物体を異なる距離から見ると、網膜像の大きさが変化するにもかかわらず、物体の大きさは一定と知覚する。この現象は「大きさの恒常性」と呼ばれ、脳が網膜像の大きさと物体までの距離の情報を使って物体の大きさを見積もっていることを示している。 注視課題遂行中のニホンザルの大脳皮質V4野より単一神経細胞活動を記録し、受容野上にランダムドットステレオグラム(RDS)を用いた円盤状の刺激を提示する。この円盤内のドットはすべて左右の網膜像で対応点を有する(正相関RDS)。円盤の周囲は左右眼でドットが対応しない無相関RDSを提示する。円盤の大きさと両眼視差(すなわち知覚される円盤までの距離)を変化させた時のV4細胞の反応を調べたところ、V4野細胞の多くは、交差視差により刺激が手前に見えるときには大きな刺激サイズに最適応答を示し、非交差視差により刺激が奥に見える時には小さな刺激サイズに反応した。すなわち、これらの細胞は、物体の大きさを伝える細胞(大きさの恒常性という知覚現象を説明する細胞)の候補と考えられる。このような細胞の性質を作りだす神経回路モデルを創案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおり、V4野細胞が大きさ知覚の恒常性に関わる証拠を十分に得ることができた。論文を執筆しており、ほぼ完成稿に近づいた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画にそって、大きさ知覚におけるV4野の役割の解明を目指すとともに、質感情報と大きさ情報の大脳皮質内における相互作用のメカニズムを探求する。
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Research Products
(11 results)
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[Journal Article] Predicted contextual modulation varies with distance from pinwheel Centers in the orientation preference map2011
Author(s)
Okamoto, T., Ikezoe, K., Tamura H., Watanabe, M., Aihara, K., Fujita, I.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 1:114
DOI
Peer Reviewed
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