2011 Fiscal Year Annual Research Report
脳が読み解く素材感:非注意・注意下での脳磁場反応解析
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
23135525
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
萩原 綱一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00585888)
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Keywords | 触覚 / 質感 / 体性感覚誘発磁場 / 二次体性感覚野 |
Research Abstract |
触覚の質感認知に関する神経基盤を明らかにするため、ピエゾ型触覚刺激装置を用いて質感の異なる2つの触振動刺激パターンを作成し、体性感覚誘発磁場を解析した。被験者は右利き健常成人7名。2つの触振動刺激パターンとしては、(1)刺激間隔50ミリ秒で1.5秒持続する規則的なリズムのトレイン刺激と、(2)刺激間隔が50ミリ秒を中心として±約30ミリ秒ランダムに変動しつつ1.5秒持続する不規則なリズムのトレイン刺激を作成し、物体表面のテクスチャの差異を疑似的に表現した。(1)と(2)の刺激条件は同じセッション内において1.2~1.6秒間隔でランダムな順番で提示し、それぞれ100回分の刺激に対応する反応を加算平均した。さらに、刺激の種類を弁別しながら計測する"注意下条件"と、無声動画を見て刺激から注意をそむけた"非注意下条件"の2つの条件において比較を行った。記録された体性感覚誘発磁場には3つの成分が観察された。1つは過渡応答であり、刺激後100ミリ秒後に反応頂点をもち一次体性感覚野において最大振幅を呈したが、(1)(2)両刺激条件において同様に記録され、注意下・非注意下条件間での差も認めなかった。2つ目は定常応答であり、刺激(1)のみにおいて20Hz(刺激間隔50ミリ秒)に同期した反応が刺激後250~1500ミリ秒において記録され、一次体性感覚野において最大振幅を呈した。しかしながら、過渡応答同様に、注意下・非注意下条件間での差はなく、質感認知への関与は乏しいと考えられた。3つ目の成分は両側性の低周波持続応答であり、(1)(2)両刺激条件において同様に記録され、刺激後250~1500ミリ秒ないしはそれより遅い時間帯まで持続し、周波数1Hz以下の緩やかな起伏を呈する反応であった。この成分は両側の二次体性感覚野を含む弁蓋部に最大振幅を呈した。注意下条件において有意に振幅が高く、質感認知に関わる脳内応答であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初はテクスチャの異なる実際の布素材等を刺激に用いて実験することを予定していたが、刺激装置を新たに工夫する必要があったため、現在までのところはピエゾ型触覚刺激装置を用いて質感の違いを疑似的に表現した触振動刺激を用いている。
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Strategy for Future Research Activity |
実際の布素材等を刺激に用いた場合、既存のピエゾ型触覚刺激装置では反応が安定せず、同一セッション内において素材-素材間の反応比較をすることが難しいため、別途摩擦刺激装置を作成中である。
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