2011 Fiscal Year Annual Research Report
モデル動物としてのサルにおける質感認知の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
23135531
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
伊藤 南 生理学研究所, 生体情報研究系, 准教授 (20311194)
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / 視知覚 / 質感 |
Research Abstract |
質感認知のメカニズムをニューロンレベルで明らかにする為には、使用するモデル動物が質感の情報を知覚し利用することを示すことが重要である。本研究の目的は素材の質感を手掛かりとする弁別課題をサルに行わせ、心理物理学的手法によりヒトと同等の質感の知覚を期待できるかどうかを明らかにすることにある。2通りの訓練方法を計画した。(1)飼育ケージ内に64箇所に小さく仕切られた棚状の飼育箱を用意して、各仕切内に4種類の素材(金属、布、樹皮、ゲル状プラスチック)を貼り付け、サルはそれぞれの仕切内に置かれた固形飼料やレーズンを探しながら食べるようにした。各仕切は3x3cm^3と小さく、えさを探す際に仕切内部を注視する必要があり、えさを摘む際には必ず壁面に触るので4種類の素材の質感を覚えることが期待される。(2)4種類の素材(金属、布、樹皮、ゲル状プラスチック)をレバー上に貼り付けて、触感の要素を含む弁別課題により訓練した。まず注視課題を訓練した後、それぞれの素材に4種類の形状を割り当てて形状により弁別させた。4個のレバーの押し分けによりほぼ100%の弁別成績を示したので、訓練用刺激の縮小拡大、回転、変形を行ったところ、一週間の訓練で汎化した。現在は形の要素を廃して素材による弁別へと課題を変更中である。樹皮、布については素材による弁別成績が90%を越している。一方、金属とゲル状のプラスチックについては形状では区別できるが、素材で区別させると混同する傾向がある。引き続き訓練を継続している。またゲル状のプラスチックを示す刺激画像があまり刺激特徴を表していないようなので、刺激画像の呈示方法について検討中である。現状ではサルはレバーを使用する4択の弁別課題を学習した。しかし個別の物体による弁別を行っている可能性が排除できないので、素材以外の刺激特徴についてさらに汎化のための訓練を続ける必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属研究機関における建物の耐震改修にともなう研究室および動物の飼育施設の移動により、3ヶ月間動物の訓練を含む動物実験が中断された。
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Strategy for Future Research Activity |
動物の訓練を予定通り進めることが基本方針であるが、これと並行してヒト被験者により訓練と同一内容の質感弁別による心理物理学実験を行い、比較検討の材料とする。訓練終了後は、神経メカニズム解明の手段として速やかにV4野とV2野において電気記録実験を実施する。
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Research Products
(7 results)