2012 Fiscal Year Annual Research Report
質感認知とその障害の分子・神経メカニズム
Publicly Offered Research
Project Area | Integrative studies of neural mechanisms and advanced information technologies for perception of material and surface qualities |
Project/Area Number |
23135532
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
南本 敬史 独立行政法人放射線医学総合研究所, 分子イメージング研究センター, チームリーダー (50506813)
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Project Period (FY) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 質感 / セロトニン / うつ / 視覚野 / コントラスト |
Outline of Annual Research Achievements |
うつ病を患うと、「見るもの全てが灰色に見える」かのごとく、主観的にネガティブな質感認知をすることが言われている。本研究は、初期視覚野において、セロトニン5HT2A受容体ならびに5HT1B受容体の発現が多く見られることに着目し、これらの受容体を介したセロトニン伝達が白黒コントラスト感受性の低下を引き起こすことが、うつにおける質感認知の減退の原因である可能性の検証を試みた。 3頭のマカクサルに行動課題を行わせ、縦縞と横縞のGaborパッチ(白黒コントラスト比が8段階、空間周波数が3段階)がそれぞれ大報酬、小報酬の予告刺激とし、課題のやる気に差が出る白黒コントラスト閾値を同定した。テスト直前に、セロトニン5HT1B受容体の阻害剤GR55562、またはセロトニン5HT2A受容体の阻害剤MDL100,907のいずれかを筋肉内投与し、生理食塩水投与後のコントロール状態と比較した。5-HT1B受容体を阻害した場合、コントラストの検出閾値が上昇し、感受性の低下が確認された。一方、5-HT2A受容体を阻害した場合、行動に差が見られず、検出閾値には一貫した影響は観察されなかった。 またPETを利用し阻害剤の占有率を測定したところ、行動実験に用いたGR55562、MDL100,907の投与量下では5-HT1B、5-HT2A受容体のそれぞれの占有率は約30%と約80%であった。 以上の結果から、白黒コントラスト感受性制御がセロトニン5-HT1B受容体を介して行われているという視覚認知機能の分子メカニズムが明らかとなった。うつ病において、脳内セロトニンレベルの低下が、によりセロトニン5-HT1B受容体の活性が下がり、コントラスト感受性の低下を引き起し、「見るものが灰色に見える」というようなネガティブな質感認知を引き起している可能性が示唆される。
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Research Progress Status |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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