2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体イメージングによる反応速度論的パラメーターの高感度計測
Publicly Offered Research
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
23136504
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
青木 一洋 京都大学, 生命科学研究科, 講師 (80511427)
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Keywords | FRET / シミュレーション / FCCS / 解離定数 / パラメーター |
Research Abstract |
23年度は、多階層生体システムモデルの構築に必要な反応パラメーターの取得を促進する方法論の開発を行った。 ①高感度FRETバイオセンサーを用いた、生細胞内における酵素反応パラメーターの定量的測定法の開発:生きた細胞において分子の活性を可視化するために、FRETバイオセンサーが開発されてきた。本研究では、高感度の分子内FRETバイオセンサーをハイスループットに構築する方法を開発した。改善点は、(1)ドナーとアクセプター蛍光タンパク質の最適化、(2)100アミノ酸以上のリンカーを用いること、の二点であった。この手法により、これまでにPKA, ERK, PKC, Akt, S6K, RSK, EGFR, Src等のリン酸化酵素のFRETバイオセンサーを構築した。本研究成果は論文として報告し、特許を申請、受理された(Komatsu N et al., Mol Biol Cell, 2011)。これらのFRETバイオセンサーを用いて、生細胞におけるリン酸化反応の速度定数を取得している。 ②蛍光相互相関分光法FCCSを用いた生細胞内分子間相互作用の定量的測定法の開発: 分子間相互作用を定量化するために、蛍光相関分光法FCS、蛍光相互相関分光法FCCSを用いて、生細胞内で解離定数を測定する手法を開発した。FCS, FCCS測定に適した蛍光タンパク質のペアを検討したところ、GFPとHalo-TAMRAタンパク質のペアが最も適していることが分かった。さらに、解離定数測定のための条件検討を行い、EGFR-Ras-ERKシグナル伝達系を構成する分子間相互作用の解離定数を十数種類測定することに成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績①については、国際特許を取得し、論文として発表している。また世界中からプラスミドのリクエストが来ており、当初の計画以上に研究が進展した。 研究実績②に関しては、蛍光相互相関分光法を用いた細胞内解離定数の測定という方法を位置から検討し、実際に細胞内で解離定数を測定するところまで立ち上げることができた。こちらの研究テーマに関しても十分進展したと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した方法で反応パラメーターの取得をさらに進めるとともに、定量パラメーターを用いた細胞内シグナル伝達システムのシミュレーションモデルの構築を行う。 ・定量パラメーターを用いたシグナル伝達システムのシミュレーションモデルの構築: Ras-ERK MAPキナーゼシグナル伝達系、PKAシグナル伝達系、イノシトールシグナル伝達系の反応モデルをCell Designerにより構築し、反応式と上記の実験により得られたパラメーター用いて数値シミュレーションを行う。申請者はすでにEGF-Ras-ERK MAPキナーゼ系のシグナル伝達反応モデルを構築している。分子の濃度、核内核外移行速度に関しては、すでに取得済みである。CellDesignerでモデル構築後、MATLABによる数値解の取得、シス テム特性の解析、及び新規のフィードバックシステムなどの同定を行う。さらに、当該領域の高次生体システム、特に心臓システムのへのモデルの展開の可能性を検討し、必要とあらば、心筋細胞における反応パラメーターの計測を行う。
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