2011 Fiscal Year Annual Research Report
TRIC-A欠損による心臓機能破綻の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
23136506
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山崎 大樹 京都大学, 生理化学研究ユニット, 特定講師 (40467428)
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Keywords | TRIC-A / 不整脈 / アクションポテンシャル / 小胞体 / 心臓 / Ca^<2+>トランジェント |
Research Abstract |
心臓に豊富に発現する小胞体カウンターイオンチャネルであるTRIC-Aの心臓における機能的役割を明らかにするため、TRIC-A欠損マウスを用いた機能解析を行った。これまでの予備検討ではTRIC-A欠損単離心筋細胞において定常状態Ca^<2+>レベルの上昇、Ca^<2+>トランジェントの増大及びCa^<2+>トランジェント減衰時間の短縮を示した。本研究では、これらの異常がいかに生じているかを、TRIC-A欠損マウスを用いた個体・組織・細胞レベルでの多階層的解析により明らかにすることが目標である。 個体レベルでの心電図解析では、80mg/kgの高濃度イソプロテレノール(Iso)刺激によりWTでは観察されなかった不整脈様のイベントがTRIC-A欠損マウスにて高頻度に観察された。次に、TRIC-Aが心臓のどの部分に発現しているかを明らかにするため、in situ hybrydizationを行ったところ主に左心房、左心室及び心室中隔に発現していることが明らかとなった。予備検討で観察されたCa^<2+>トランジェントの増大及び減衰時間の短縮は、心臓ホモジネートのウェスタンブロットの結果より、リアノジン受容体(RyR2)とホスホランバン(PLB)のリン酸化レベルの亢進に依存することが判明した。しかしながら、定常状態Ca^<2+>レベルの上昇がどのような機序で生じているのか、さらにはRyR2及びPLBのリン酸化亢進メカニズムについては不明である。続いて成獣マウスと新生児マウスでめ表現型を比較するため、新生児マウスより心筋細胞を単離培養し、Ca^<2+>イメージングを行った。その結果、TRIC-A欠損新生児単離心筋細胞において異常は観察されなかった。加えてRyR2及びPLBのリン酸化レベル亢進も観察されなかったことから、TRIC-A欠損の成獣マウスで観察されたIso誘発性不整脈様のイベントはRyR2及びPLBのリン酸化レベルの亢進によるCa^<2+>トランジェントの異常が原因であることが示唆された。今後、成獣マウスの単離心筋細胞でのCa^<2+>トランジェントの詳細な解析を行っていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個体・組織・細胞レベルでの異常がそれぞれ心電図、ウェスタンブロット、Ca^<2+>トランジェントにてすでに観察されている。これらの異常の因果関係が成立していないことが現状での問題点であるが、概ね順調に進展していると判断できる。新生児マウス単離心筋細胞でのCa^<2+>トランジェントにおいても予想していなかった異常が観察されているため、今後の展開次第では大きな発見に繋がる可能性が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように、現在観察されている異常がそれぞれ独立したものであり、因果関係がはっきりしていないことが現状での問題点である。これら因果関係を明らかにするには詳細な細胞レベルでのCa^<2+>イメージング解析が必要であると考えられる。従って、心室筋細胞の電気刺激誘発性Ca^<2+>トランジェセトの各パラメータ三について詳細な検討を行っていく。また、本年度はイソプロテレノールによる2週間持続投与後のマウスからの単離心筋細胞におけるCa^<2+>イメージングも実施予定であり、同時に検討を行っていく。
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Research Products
(13 results)