2011 Fiscal Year Annual Research Report
再構築系による平滑筋組織ペースメーカーモデル細胞の作製とシミュレーション
Publicly Offered Research
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
23136512
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
今泉 祐治 名古屋市立大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (60117794)
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Keywords | ペースメーカー / Ca^<2+>クロック / カハール間質系細胞 / Ca^<2+>シグナル / イオンチャネル / Ca^<2+>活性化Cl^-チャネル / リアノジン受容体 / 平滑筋 |
Research Abstract |
消化管・門脈を含む一部の静脈・尿管・尿道など平滑筋諸臓器の自動運動機能を担うカハール間質系ペースメーカー細胞での細胞内Ca^<2+>オシレーション発生機序と、それによって活性制御されてCa^<2+>シグナルを電位シグナルへと変換しペースメーカー電位を形成するイオンチャネル分子群の機能連関を、これらのイオンチャネルを強制発現させた再構築系モデル細胞を作製して解明し、実質的なシミュレーションを可能にすることが本研究の目的である。 Ca^<2+>シグナルを膜電位変化に変換する分子素子として、少コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+チャネルをHEK293細胞に定常発現させた細胞系(HEK_SK)をまず構築した。さらに3型リアノジン受容体(RyR3)を一過性発現させることにより、自発的にCa^<2+>オシレーションを発生し、かつそれに伴い自発性の過分極を発生する細胞の作成に成功した(HEK_SK_RyR3)。また、細胞間の電気的連関を増大させ、電気現象の拡散を促進するコネキシン43をHEK_SKに定常発現させた細胞系(HEK_SK_Cx43)も作成し、RyR3を一過性に共発現させたところ(HEK_SK_Cx43_RyR3)、充分離れた細胞間でのCa^<2+>オシレーションの同期が観察され、Cx43を阻害する18βグリチルリチン酸により同期が消失した。これらのことから、自発性Ca^<2+>オシレーションを発生し、そのシグナルをペースメーカー的な電気的オシレーションへと変換し、電気シグナルを細胞間で伝導することにより、Ca^<2+>オシレーションが同期し、再び電気シグナルへと変換される再構築ペースメーカーモデル細胞系の原型を作成することができた。この場合のCa^<2+>オシレーションは典型的なCa^<2+>クロックとして機能していると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RyR3をシグナル発現素子、SKチャネルをシグナル変換素子として組み込んだCa^<2+>クロック機能を有するペースメーカーモデル細胞系の原型の作成に概ね成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
カハール細胞での脱分極性ペースメーカー電位に重要と考えられているCa^<2+>活性化Cl^-チャネル(TMEM16A)のcDNA単離は完了し、TMEM16A定常発現細胞を作成中である。ペースメーカーとして機能しているカハール細胞では受容体型チロシンキナーセ遺伝子c-kitを発現しているため、c-kitを定常発現させたHEK293細胞にさらにSK,Cx43,TMEM16Aなどを共発現させ、さらにRyR3を一過性に発現させてモデル細胞を構築する。
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Research Products
(36 results)