2011 Fiscal Year Annual Research Report
PIP_2による輸送体活性制御とその破綻による心不全機序の統合的解明
Publicly Offered Research
Project Area | Establishment of Integrative Multi-level Systems Biology and its Applications |
Project/Area Number |
23136517
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
喜多 紗斗美 福岡大学, 医学部, 講師 (10461500)
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Keywords | 脂質キナーゼ / 心不全 / イオン輸送 |
Research Abstract |
本研究では、種々のPIP5Kα遺伝子改変マウスをPI(4,5)P_2産生量の異なるマウスとして開発・応用することにより、PI(4,5)P_2によって活性制御を受けるイオン輸送体・チャネルの活性制御機構と心臓の興奮収縮連関について総合的に理解し、その破綻によって導かれる心不全の機序について検討することを目指す。平成23年度は、各種PIP5Kα遺伝子改変マウス(PIP5Kα-DN-Tg、PIP5Kα-KO)を用いて、圧負荷心肥大モデルを作製し、心肥大形成および心機能について野生型マウスと比較・検討した。圧負荷心肥大モデルとして、心重量/体重比(HW/BW,mg/g)が5~6の軽度~中程度モデルと、HW/BW=6以上の重度モデルの2種類を作製した。重度モデルでは、野生型、PIP5Kα-DN-TgおよびPIP5Kα-KOにおいて同程度の心肥大の形成ならびに心機能(EFおよびFS)の低下が認められた。一方、軽度~中程度モデルの場合には野生型に比べてPIP5Kα-DN-TgおよびPIP5Kα-KOでは心肥大形成が抑制され、心機能の低下も改善された。これらの結果より、心肥大の程度によってPI(4,5)P_2の関与が異なる可能性が示された。また、申請者はこれまでに、NCX1のPI(4,5)P_2高親和性変異体の心臓特異的トランスジェニックマウスが拡張型心筋症の病態を示し、不整脈が認められるが、PIP5Kα-DN遺伝子の導入により病態が改善されることを見出している。現在、これらの心肥大モデルおよび拡張型心筋症モデルにおいてPI(4,5)P_2産生量やNCX1の局在の違いを比較・検討中である。さらに、PLCδ1PH-GFPおよびBtkPH-GFPを心筋特異的に導入したマウスが完成間近であり、平成24年度にはこれらマウスを用いてPI(4,5)P_2およびPI(3,4,5)P_3の心筋細胞内局在を調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種PIP5Kα遺伝子改変マウスを用いた心肥大・心不全モデルを作製することにより、心肥大の程度によってPI(4,5)P_2の関与が異なることが示された。また、ホスホイノシチド測定の蛍光プローブを心筋特異的に高発現したマウスの作製も当初の予定通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の研究において、心肥大の程度によってPI(4,5)P_2の関与が異なることが示されたので、今後はPI(4,5)P_2によるNCX1活性制御についてこれらモデル間で比較していく。PI(4,5)P_2およびPI(3,4,5)P_3の心筋細胞内局在については、PLCδ1PH-GFPおよびBtkPH-FPを心筋特異的に導入したマウスを用いる。特に、NCX1制御に関わるPI(4,5)P_2動態を観察するために、全反射蛍光顕微鏡を用いた実験を進めていく。
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Research Products
(13 results)