2023 Fiscal Year Annual Research Report
Spin-sublevel dynamics of triplet exciton
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic Exciton: Emerging Science and Innovation |
Project/Area Number |
23H03945
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
生駒 忠昭 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10212804)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 電子スピン共鳴 / スピンダイナミクス / ゼロ磁場相互作用 / 熱活性遅延蛍光 / ジケトン脱離反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
光励起用レーザーをアップグレードした。また、現有する電子スピン共鳴(ESR)装置の傍に発光検出システムを新たに構築し、ESR装置と同期させ、時間分解ESR実験や光検出ESR実験を実施できる測定装置を立ち上げる。 3つの電子供与性アクリダン基が電子受容性トリアジンに結合した分子(3ACR-TRZ)について研究した。3ACR-TRZ はC3回転対称性のある分子構造を有しており、比較的分子サイズが大きい熱活性遅延蛍光分子である。3ACR-TRZの時間分解ESR実験を行ったところ、スピン分極した励起三重項状態を観測することができた。スペクトルの極性から、スピン軌道相互作用だけでなく超微細相互作用に由来する一重項励起子-三重項励起子スピン変換があることが分かった。一方、光検出ESR実験も行ったが、有意な信号をえることができなかった。 また、有機半導体材料における中核的化合物であるポリアセンを生成する光前駆体(アセンジケトン)の光脱離反応について調べる目的で、可溶性ヘプタセンジケントンの時間分解ESR実験も行った。凍結捕捉法を用いても、ヘプタセンジケントンの常磁性光反応中間体を検出することができなかった。一方、ヘプタセンジケントンの反応性が著しく溶媒に依存することが分かった。ジケトン脱離反応を示すマトリクスにおいては二量化反応の存在も示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
時間分解型光検出ESR装置を立ち上げたが、光検出ESR信号を観測することができなかった。原因は、おそらく現有するマイクロ波発生器のパワー不足と思われる。また、2024年1月1日の能登沖地震の影響で、レーザーが故障したため、実験を中止せざるを得なかったことも遅滞の原因である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 光検出ESRが報告されているナノダイアモンド中のNVセンターを用いて、自作の光検出ESR装置の最適化を行う。 2. 熱活性遅延蛍光分子の研究に関しては、室温固体マトリクスを用いて逆項間交差のスピン副準位ダイナミクスを研究する。 3. ヘプタセンジケントンがジケトン脱離反応だけを起こすマトリクスを探索し、巨大アセンの励起状態を調べる。
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