2023 Fiscal Year Annual Research Report
環状動的エキシトンをテンプレートとする電子ドナー・アクセプターのオリゴマー配列
Publicly Offered Research
Project Area | Dynamic Exciton: Emerging Science and Innovation |
Project/Area Number |
23H03973
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
湯浅 順平 東京理科大学, 理学部第一部応用化学科, 教授 (00508054)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 動的エキシトン / 超分子 / 電子移動 / 電荷移動錯体 / 環状構造 / 光化学 / 電子輸送 / ナノ構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究の目的は、環状動的エキシトンをテンプレートとしたドナー/アクセプター(D/A)相互作用のオリゴマー配列を構築することである。自然界においては、光合成反応中心に代表されるD/A相互作用を環状に配列した美しい構造様式が多く存在する。これらのD/A環状配列構造は構造的に美しいだけでなく、天然が電子の移動を自在に制御する上で重要な役割を果たしていると考えられる。今年度は、このような天然の優美な環状構造を参考にし、D/A相互作用を環状配列するとともに、それを次元拡張したチューブ性の構造についても開発に着手している。具体的には、電子受容性に優れた分子骨格を架橋配位子の中央スペーサー部位として用い、両端に角度性を持たせて2つのイミダゾール配位部位を導入した新規ビルディング配位子を合成した。この新規ビルディング配位子と亜鉛イオン(Zn2+)との超分子形成および、単結晶構造による単離と構造同定を試みた。特に、下記の項目(【現在までの進捗状況】)で記述するようにテンプレート超分子ホスト構造となる環状動的エキシトン(D/A環状配列構造体)の構築について幾つかの異なるタイプの環状超分子構造の構築に成功している。これらの環状動的エキシトン(D/A環状配列構造体)の単結晶構造解析についても成功しており、現在、論文投稿に向けてその精密化に取り組んでいる。さらに、得られた結晶構造を元に密度汎関数(DFT)計算によってD/A環状配列構造体の電子状態を計算することで、このD/A環状構造がもつ特異な電子物性についての知見を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように本研究の目的および目標は環状動的エキシトンをテンプレートとしたドナー/アクセプター(D/A)相互作用のオリゴマー配列を構築することである。研究達成の重要なポイントとなる項目としては、テンプレート超分子ホスト構造となる環状動的エキシトン(D/A環状配列構造体)の構築と、そのゲスト取り込み機能の有無である。このような観点から、今年度およびこれまでの継続した研究の過程において、複数の異なるタイプのD/A環状配列構造体の構築に成功している。これら、複数の異なるタイプのD/A環状配列構造体はビルディングブロックとなる電子供与性分子(D)および電子受容性分子(A)の種類が異なるという化学的な性質の差異だけでなく、構造化学的に環状構造の同一性を保持しつつ、異なるケージ構造(歪みや剛直さ)をもつ多様な構造ライブラリーの構築に成功している。以上のような研究進展の背景から、本研究は「おおむね順調に進展している」と判断される
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Strategy for Future Research Activity |
上記、【現在までの進捗状況】において示したようにテンプレート超分子ホスト構造となる環状動的エキシトン(D/A環状配列構造体)の構築について、これまでの継続的な本研究課題の取り組みより十分な成果が得られた。「今後の研究の推進方策」としては、これまでライブラリー的に合成してきた環状動的エキシトン(D/A環状配列構造体)のゲスト取り込み機能の調査を中心に課題に取り組む。具体的には、適切な溶液中においてD/A環状配列構造体に対して連続的にゲスト分子の濃度を変調させ1H NMRを測定することで、D/A環状配列構造体に由来する1H NMRシグナルの変化からゲスト取り込み機能の有無を調べる。このNMR解析により、D/A環状配列構造体とゲスト分子との相互作用定数を算出する。得られた結果を密度汎関数(DFT)計算によって得られたホストーゲストの結合モデルと比較することで、実験結果の妥当性等について評価を行う。
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