2023 Fiscal Year Annual Research Report
高性能計算と観測の協働で挑むダークマターの正体解明
Publicly Offered Research
Project Area | What is dark matter? - Comprehensive study of the huge discovery space in dark matter |
Project/Area Number |
23H04002
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石山 智明 千葉大学, 情報戦略機構, 准教授 (90616426)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ダークマター / 高性能計算 / 理論天文学 / 銀河形成 / ビッグデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
低輝度矮小楕円体銀河の存在量や内部構造はダークマターモデルに依存する。近未来の分光観測によって、こうした天体の精密なデータがもたらされると期待されている。本研究では観測と詳細な比較を行うための理論テンプレートを作成し、ダークマターモデルを制限することを目的としている。 2023年度は大規模宇宙論的シミュレーションデータからハローとサブハローを効率的に抽出するソフトウェアの開発を進めた。広く使われている公開ソフトウェアは、数千計算ノード規模以上の環境では効率が良くなく、通信の実装方法に起因して環境によっては動作しないという問題もあった。我々は当該分野でもっとも広く用いられている公開コード、 Rockstar(Behroozi+2013) を採用し、ソケットライブラリで実装されていた通信部分を全てMPI通信に変更した。さらに、OpenMPを用いたハイブリッド並列も実装した。その結果、富岳スーパーコンピュータの1万ノード以上の環境でハロー検出を実行できるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に進める予定であったハロー検出ソフトウェアの大規模並列化が一段落し、富岳での大規模シミュレーションの準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したハロー検出コードを公開する。そして、大規模な高分解能宇宙論的構造形成シミュレーションを多数行う。冷たいダークマターモデルと自己作用するダークマターモデルを採用し、後者では衝突断面積などの物理パラメータを変更した複数モデルのシミュレーションを行う。開発したハロー検出ソフトウェアを用いて、銀河ハローにおける低輝度矮小楕円体銀河スケールのサブハローの内部構造、存在量、空間分布、運動を定量化する。
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