2023 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive analysis of binding proteins of symbiotic materials utilizing proximity labeling
Publicly Offered Research
Project Area | Biophysical Chemistry for Material Symbiosis |
Project/Area Number |
23H04050
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 伸一 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20633134)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 近接標識 / 共生材料 / 結合タンパク質同定 / 低親和性 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質共生を達成する分子(=共生材料)の機能発現のメカニズムを理解するためには、共生材料と相互作用するタンパク質の結合性を解析することが重要である。しかし、共生材料の認識は、結合タンパク質との「弱い相互作用」による動的な相互作用に依存する場合も多く、従来の強い相互作用、静的な相互作用を解析する研究手法を適用できないことが共生材料の結合タンパク質解析における研究障壁となっている。また、弱い相互作用、一過的な相互作用を形跡する研究ツールは様々なものが開発されているが、特定の分子の未知の相互作用タンパク質を同定できる手法は限定されている。そこで、本研究では、近接標識法を活用し、親和性の強弱に関わらず共生材料の結合タンパク質を同定する手法の開発を目指した。 研究代表者がこれまでに開発した(1)共生材料の機能を損なわずに導入可能な光触媒構造、(2)光触媒の近傍約十ナノメートルの空間で完結するタンパク質化学標識法、(3)標識タンパク質を同定できるプロテオミクス技術、を組み合わせて、従来法では解析が困難な弱い相互作用を介した結合タンパク質の網羅的同定を行った。 2023年度の検討では、細胞膜上での分子の認識に関与するタンパク質を効率的に標識することを目指し、細胞膜透過性が低く、標識効率の高い標識剤を見出すことに成功した。また、標識タンパク質を選択的に濃縮し、プロテオミクス解析を行うためのサンプル調整法を検討し、手法をプロトコル化することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度開始時の目標として、細胞膜上で共生材料の認識に関与するタンパク質を効率的に標識することを目指し、細胞膜透過性が低く、標識効率の高い標識剤を見出すことを計画していた。当該の研究計画を達成することが出来た。 また、領域内の共同研究を進め、核酸に対して相互作用するタンパク質の近接標識による網羅的同定を行った。また、共生材料と光触媒の結合方法に関して検討を行い、研究の進展があった。以上の理由により「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在検討中の共生材料と光触媒構造の結合手法を引き続き検討し、共生材料の機能性を保持したまま光触媒を導入した分子を作成する。得られる分子と、細胞膜上での共生材料結合タンパク質を効率的に標識すること目指し2023年度で見出した細胞膜透過性が低い標識剤を用いた検討を進める。標識剤で標識されるタンパク質をプロテオミクス解析によって同定し、得られるタンパク質リストを共同研究者、領域内研究者と共有、議論し、検証実験を計画する。未知の共生材料結合タンパク質の同定と、そのタンパク質の機能性評価へと展開する。領域内の共同研究によって見出した核酸結合タンパク質に関して、共同研究者と議論を深め、成果発表する。近接標識法による一連の実験手法を核酸結合タンパク質の同定法として一般化することを目指す。
|