2023 Fiscal Year Annual Research Report
Studies of atomic and electronic structures and dynamics of functional zeolites by synchrotron radiation
Publicly Offered Research
Project Area | Progressive condensed matter physics inspired by hyper-ordered structures |
Project/Area Number |
23H04117
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
細川 伸也 熊本大学, 産業ナノマテリアル研究所, 特任教授 (30183601)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 機能性ゼオライト / 放射光 / 部分原子構造 / 電子状態 / ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
数多くの重要な機能性を発現する材料として注目されているゼオライトを対象として、その原子配列、電子状態およびダイナミクスの基礎物性を放射光を用いて観測を行った。排ガス純化触媒として用いられている鉄あるいは銅を含むゼオライトについてX線異常散乱の実験を行い、鉄あるいは銅のまわりの部分原子配列を求めた。また高エネルギーX線回折法を用いて、全体の構造を明らかにし、2体分布関数解析を詳細に行った。さらにこれらの金属元素を含むゼオライトの原子振動についてX線非弾性散乱測定を行った。これらの実験結果より、鉄あるいは銅の金属原子がクラスターを形成している兆候を見出した。電子状態の観点からは、軟X線吸収・発光分光法を用いて、酸素2pあるいは鉄あるいは銅3d部分電子構造を求めた。今後は密度汎関数理論計算を行うことにより、実験的に得られた物性を理論的にサポートするとともに、ゼオライトの機能発現のメカニズムを明らかにし、機能の高度化に貢献したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた実験については、概ね想定した結果を得ている。特に、金属クラスターの存在を示唆する結果は、ゼオライトの触媒機能を考察する上で、極めて重要なヒントとなり得る。今後の密度汎関数理論計算の大きな問題は、ゼオライトの単位格子が非常に大きく、実験で求めた金属クラスターの存在を証明するには、大型計算機の利用が不可欠であるため、新たな計算プログラムを考案する必要があり、その開発に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
排ガス純化触媒として用いられている鉄あるいは銅を含むゼオライトについては、予定していた実験はほぼ終わったので、その結果を矛盾なく説明する密度汎関数理論計算を行っていきたい。ゼオライトの単位格子が非常に大きく、実験で求めた金属クラスターの存在を証明するには、大型計算機の利用が不可欠であるため、新たな計算プログラムを考案する必要があるので、今後はそこに集中して研究を進めていきたい。
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