2023 Fiscal Year Annual Research Report
Four-dimensional analysis of light scattering and fluctuations in normal and diseased cells : Fusion of Scattered Fluoroscopy and Medicine
Publicly Offered Research
Project Area | Comprehensive understanding of scattering and fluctuated fields and science of clairvoyance |
Project/Area Number |
23H04128
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出沢 真理 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50272323)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 幹細胞 / ガン細胞 / 疾患由来細胞 / 遺伝子発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
【細胞のセットアップ】1)正常ヒト皮膚由来の線維芽細胞(NHDF)とDNA修復遺伝子変異を持つ色素性乾皮症, コケイン症候群,ブルーム症候群の患者皮膚由来線維芽細胞の活性を計測した。NHDFと比べ患者由来細胞は増殖スピード低下、H2O2暴露による細胞老化促進が確認された。2)ヒト奇形腫由来多能性幹細胞NTERA2、マウス8細胞~桑実胚前後の未分化細胞、マウス肝臓由来肝細胞、マウス脳由来神経細胞の培養を行った。ヒトおよびマウスの間葉系幹細胞やMuse細胞等の体性幹細胞とヒトiPS細胞を樹立・培養を行った。 【光の散乱・ゆらぎの解析】1)ミトコンドリアなどの細胞小器官マーカーで蛍光染色した正常細胞(NHDF)、病的細胞(コケイン症候群患者皮膚由来線維芽細胞)、がん細胞(ヒト肝癌細胞HepG2など)、未分化幹細胞(ヒト多能性胎生期癌細胞NTERA-2)、体性幹細胞(Multilineage-differentiating stress enduring (Muse)細胞)をマルチモーダルホログラフィック顕微鏡によって細胞内の屈折率と各細胞小器官マーカーの蛍光を測定した。その結果、エンドソームやリソソームなど一部の細胞小器官マーカーとオーバーラップする三次元の屈折率分布を同定することができた。2)顕微動的光散乱装置にて正常細胞、がん細胞、未分化幹細胞を生細胞または固定した細胞の動的光散乱を測定し、現在、解析を進めている。 【遺伝子発現等の解析】Muse細胞と骨髄間葉細胞を単一細胞RNA配列やmicroRNA解析を行った。Muse細胞でp53 repressor, EGFや VEGF等の受容体, 解糖系と酸化的リン酸化、Let-7ガン抑制性microRNA等が高かった。現在光の散乱・ゆらぎの解析結果と相関があるかを解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【光の散乱・ゆらぎの解析】 2023年度 1)森田(神戸大)、2)廣井(芝浦工大)と共同で行った研究進捗は以下の通りである。 1)マルチモーダルホログラフィック顕微鏡で種々の細胞を観察するために、正常細胞(ヒト正常線維芽細胞(NHDF))、病的細胞(コケイン症候群患者皮膚由来線維芽細胞)、がん細胞(ヒト肝癌細胞HepG2、ヒト脳腫瘍細胞U251)、未分化幹細胞(ヒト多能性胎生期癌細胞NTERA-2)、体性幹細胞(NHDF由来Multilineage-differentiating stress enduring (Muse)細胞、ヒト臍帯由来Muse細胞)をガラスボトムディッシュに播種した。一定期間培養後、ミトコンドリア、リソソーム、微小管、F-アクチン、ゴルジ体、エンドソーム、小胞体をトラッキングするとする生細胞用の細胞小器官マーカーで蛍光染色し、Tomocube社製のホログラフィック顕微鏡システムHT-1にて細胞内の固有の屈折率と各細胞小器官マーカーを検出した。得られた細胞内の屈折率データをもとに3次元画像を作成し、細胞小器官の蛍光シグナルとの関係性を解析した。その結果、エンドソームやリソソームなど一部の細胞小器官マーカーとオーバーラップする三次元の屈折率分布を同定することができた。 2)顕微動的光散乱装置にて種々の細胞の動的光散乱を計測するために、正常細胞(NHDF)、がん細胞(ヒト脳腫瘍細胞U251)、未分化幹細胞(ヒト多能性胎生期癌細胞NTERA-2)をそれぞれガラスボトムディッシュに播種した。その後3種類の細胞の一部は生細胞のまま、一部は4%パラフォルムアルデヒドにて固定した。その後、調整したサンプルを芝浦工大の廣井研に運び、それぞれの細胞の生細胞または固定した細胞に対し、顕微動的光散乱装置にて動的光散乱を測定した。取得したデータは現在廣井研にて解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
【光の散乱・ゆらぎの解析】 以下の解析を通じ①正常細胞と病的細胞、②正常細胞とがん細胞、③未分化細胞と分化細胞、④腫瘍性の無い幹細胞と腫瘍性を持つ幹細胞の差異を明らかにする。1)2023年度にマルチモーダルホログラフィック顕微鏡にて取得した屈折率データと細胞小器官マーカーの蛍光画像を用いた解析を引き続き進める。屈折率データから構築した三次元画像と蛍光シグナルがオーバーラップする細胞小器官を同定した後、ラベルフリーでのタイムラプスでの屈折率データを取得・解析する。2)2023年度に取得した動的光散乱に関する正常細胞(NHDF)、がん細胞(ヒト脳腫瘍細胞U251)、未分化幹細胞(ヒト多能性胎生期癌細胞NTERA-2)のデータの解析を引き続き行う。データ解析終了後、得られたデータをもとにサンプル調整の条件を最適化し、正常細胞(正常マウス由来神経細胞)、病的細胞(コケイン症候群患者皮膚由来線維芽細胞、アルツハイマーマウス由来神経細胞)、がん細胞(ヒト肝癌細胞HepG2)、未分化幹細胞(ヒト多能性胎生期癌細胞NTERA-2)、体性幹細胞(NHDF由来Muse細胞)の動的光散乱を測定・解析し、すでに取得済みのデータと合わせて比較検討する。3)放射光を用いた高空間分解能細胞内細胞イメージングを行うために、細胞の固定法、包埋方法などのサンプル調整方法の検討を行う。 【遺伝子発現等の解析】 光散乱・ゆらぎに関連すると思われる細胞膜・脂質ラフトの解析を行う。抗Flotillin-1抗体で免疫沈降を行い、幹細胞や体細胞、がん細胞等のラフトの構成を比較する。細胞の酸化的リン酸化や解糖系活性を比較すると同時に2023年度で得られた単一細胞RNA配列と光散乱・ゆらぎに相関があるか解析する。
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