2023 Fiscal Year Annual Research Report
pre-mRNA splicing-mediated integration system for environmental information in plants
Publicly Offered Research
Project Area | Multi-layered regulatory system of plant resilience under fluctuating environment |
Project/Area Number |
23H04191
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大谷 美沙都 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (60435633)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | pre-mRNAスプライシング / 環境応答 / 形態形成 / 栄養応答 / 器官再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物は複数の環境情報をスプライシングダイナミクスとして統合して分子情報化し、成長・形態形成を調節しているという仮説のもと、「植物におけるpre-mRNAスプライシングを介した環境情報統合システムの解明」に挑んでいる。 2023年度は、シロイヌナズナ芽生え (野生型およびスプライシング因子変異体) を用いた側根形成誘導系を新たにセットアップし、光合成活性阻害が側根形態に与える影響を調べた。その結果、光合成活性阻害剤処理による側根形態変化を安定して観察できる実験系の確率に成功した。この系をもとに、光合成活性阻害処理芽生えの地上部・地下部それぞれを分けたRNA-seqデータを取得し、遺伝子発現解析およびスプライシング解析を行った。その結果、光合成活性低下に伴うスプライシング変動が見出され、側根形態制御がスプライシング制御によって駆動されているという仮説が補強された。 上記に加えて、スプライシングダイナミクスがどのように成長・形態形成の制御シグナルに変換されるのかという問題について、側根原基形成とつながりが深いカルス形成の系を利用し解析を行った。植物ホルモンとの関係性を調べたところ、スプライシング変異体におけるカルス形成のサイトカイニン依存性が見いだされた。これは、サイトカイニンシグナリングとスプライシング制御の強い結びつきを示唆する興味深い結果であった。 さらに栄養応答とスプライシング制御との関わりについて解析し、ゲノム中1%以下の存在率であるマイナーイントロンと呼ばれる特殊型イントロンのスプライシングが重要な働きをしていることを新規に見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初年度目標であった光合成阻害条件下での組織別RNA-seq解析を完遂し、さらにスプライシング制御とサイトカイニンとの関わりを明らかにすることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下のような実験を進め、研究目的の完遂に挑む。 1. 2023年度に取得した側根形態への環境条件依存性とスプライシング制御との関連性をもとに、トランスクリプトームを比較解析すべき条件を検討し、野生型とスプライシング変異体間の比較トランスクリプトーム解析・転写開始点解析を行う。これによって、複数の環境情報はどうスプライシングに入力されそのダイナミクスに反映されるか、明らかにする。 2. 2023年度に続いて、スプライシングダイナミクスが、どのように具体的な成長・形態形成の制御シグナルに変換されるのか、とくにmRNAの配列特徴に依存した植物ホルモン制御への連結の可能性を検証する。 3. 地上から地下へと輸送され、側根形態形成を制御している分子シグナルの実体を明らかにするため、候補因子の変異体を用いた接ぎ木実験などを行い、仮説を検証する。
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