2023 Fiscal Year Annual Research Report
不均一な環境変化への適応を支える葉緑体の細胞内局在変化の分子機構解明
Publicly Offered Research
Project Area | Multi-layered regulatory system of plant resilience under fluctuating environment |
Project/Area Number |
23H04203
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 栄治 九州大学, 農学研究院, 准教授 (90614256)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 葉緑体光定位運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物は、光合成の場である葉緑体の細胞内局在を変えることで、時空間的に不均一な光環境の変化に対して細胞レベルで応答し、光合成を最適化している。この葉緑体の細胞内局在変化(葉緑体光定位運動)は、光によって制御されると考えられている。しかしながら、約250種におよぶ野外の植物の葉緑体光定位運動を調べた結果、葉緑体光定位運動は光に加えて炭酸ガス濃度によっても制御されること、また、葉緑体光定位運動において、光の情報よりも炭酸ガス濃度の情報が優先されることを見出した。そこで本研究では、現在不明のままである炭酸ガスによる葉緑体光定位運動の制御システムの全貌解明を目指す。 逆遺伝学的解析により、炭酸ガスによる葉緑体光定位運動の制御に関わる鍵因子を同定できた。現在、鍵因子がどのように葉緑体光定位運動を制御するのか解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭酸ガスによる葉緑体光定位運動の制御に関わる鍵因子を同定できた。また、当該制御機構に、鍵因子の局在パターン変化が関与することを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
炭酸ガスによる葉緑体光定位運動の制御に関わる鍵因子を同定できた。また、従来鍵因子の局在は専ら葉緑体と考えられてきたが、細胞質・細胞膜にも局在することを見出した。さらに、細胞質・細胞膜に局在する鍵因子が葉緑体光定位運動の制御に関与することが示唆されたため、今後は細胞質・細胞膜型の鍵因子に注目して葉緑体光定位運動の制御メカニズムを明らかにする。また、鍵因子の局在がどのように刺激によって変化するかについても解析を進める。
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