2023 Fiscal Year Annual Research Report
核膜孔テリトリーにおけるゲノムモダリティ2.0
Publicly Offered Research
Project Area | Genome modality: understanding physical properties of the genome |
Project/Area Number |
23H04278
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
WONG W・R 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30464035)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 核膜孔複合体 / 高速原間力顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
核膜孔複合体(NPC)は、核膜を貫き、DNA情報を伝達する核膜孔を形成する30種類のタンパク質から成り立ちます。NPCは約30種類のヌクレオポリン(NUPs)で構成され、その中にはフェニルアラニンーグリシン(FG)リピート配列を持つ特定のNUPs(FG-NUPs)が含まれます。これらのFGリピート配列は固定された構造を持たずFGリピートを介した分子間相互作用が相分離を駆動し、核膜孔内部に液滴を形成します。核膜孔の周辺(核膜孔テリトリー)では、NPCと核膜を支えるラミンタンパク質が協調して、遺伝子の選択的なサイレンシングや活性化が調節されます。核膜孔テリトリーに特有のクロマチン構造や機能が明らかにされつつありますが、NPCやラミンとの相互作用によるDNA自体の物性や構造変化ダイナミクスについてはまだ解明されていません。このため、本研究では、核膜テリトリーにおけるタンパク質ーDNA相互作用とDNAナノ動態を解析するための研究ツールを開発し、ゲノムモダリティの階層的変化をナノスケールで理解することを目指しています。今年度は、NPC-DNA相互作用が実際に起こる核膜孔テリトリーの一部であるNUP153の天然変性領域による相分離を介した相互作用タンパク質を同定し、そのプロファイリングを進めています。さらに、ラミンが作用するゲノム領域についてChIP解析を行い、NUP153が作用するゲノム領域との比較を行っています。また、高速原間力顕微鏡を用いてNUP153 FG-DNAコンフォメーションの変化や弾性率を測定するための条件検討も行っています。2023年に我々の研究成果については、Cells, JPCL, Nano Letters誌に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核膜孔テリトリーにおいて、核膜孔複合体(NPC)とDNAの相互作用が実際に起こる部位のうち、NUP153の天然変性領域による相分離を介した相互作用タンパク質を特定し、それに関する論文投稿を行った結果、研究は順調に進んでいると判断しました。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の研究は概ね順調に進行しており、引き続きこれらの研究を継続し、できる限り早期に研究成果を論文として発表することを目指しています。以下に、具体的な研究計画とその進行状況について説明します。 まず核膜孔タンパク質変化が引き起こす液滴動態とその機能変化を明らかにする。測定の調整条件(用いる緩衝液や塩濃度、pHなど)について検討する。次いで、FG-NUPsの修飾変化と相分離形成能力の関連を明らかにするために、翻訳後修飾を受けるアミノ酸の変異リコンビナントタンパク質を作製し、in vitro(液滴アッセイ)、開発した蛍光プローブによる粘性・極性の解析、 in cell 液-液相分離の評価(フォトブリーチング)を行う。高速AFM(HS-AFM)を用いて、FG-NUPsの凝集反応の動的観察を行います。これにより、FG-NUPsがどのようにして液滴を形成するかをリアルタイムで可視化します。キモグラフィック解析を通じて、FG-NUPsの密度動態を評価します。これにより、FG-NUPsが形成する液滴の動的可塑性についても明らかにすることを目指しています。 現在、ある程度まとまったデータが取得できているため、その解析と整理を進めています。これにより、早期に研究成果を論文として発表することを目指しています。 研究の進行は順調であり、これらの計画を着実に実行することで、核膜孔タンパク質の機能と液滴動態の関係性についての理解を深め、生命現象の中核である選択的核膜孔複合体(NPC)とDNAの相互作用のメカニズムを明らかにすることが期待されます。
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