2023 Fiscal Year Annual Research Report
International communication and the recognition of facial surface properties
Publicly Offered Research
Project Area | Analysis and synthesis of deep SHITSUKAN information in the real world |
Project/Area Number |
23H04332
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
溝上 陽子 千葉大学, 大学院情報学研究院, 教授 (40436340)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 顔質感 / 国際コミュニケーション / 質感認識 / 肌色 / 肌質感 |
Outline of Annual Research Achievements |
顔の色・質感認識と情動や心身の状態把握に影響する要因を、社会的、文化的観点から国際比較し、色・質感認識メカニズムの機能的意味と国際コミュニケーションに与える影響を明らかすることを目的に研究に取り組んでいる。2023年度は、主として肌の明るさと色が顔の色・質感印象に与える影響および情動認識に与える影響の国際比較を行った。実験では、各人種の平均色顔を参照刺激として、そこから黄みと赤み、メラニン、ヘモグロビンによる色変化方向にそれぞれ変化させたテスト刺激を用いて評価実験を行った。肌の黄みー赤み方向への色変化が顔の明るさ知覚に与える影響の検証において、異なる人種・肌色タイプの顔画像に対して明るさマッチング評価と印象評価を比較した。その結果、マッチング評価では各国被験者による違いが見られたが、印象評価での明るさ評価の傾向は同様であった。したがって、全体的な顔印象においては国際的な共通性が示唆された。一方、評価方法によっては、結果に社会・文化背景が影響する可能性が考えられる。また、ヘモグロビン濃度変化による明度低下に対して、明るさを補正して知覚する特性を示す結果が得られた。 顔色が情動認識に与える影響については、メラニン、ヘモグロビン濃度が増すと怒りの表情を促進する傾向は日本人とタイ人被験者で共通して得られた。ただし、日本人の方がその影響は大きいことが示唆された。日本人被験者による実験では、怒りの表情を促進する効果はメラニンよりヘモグロビン濃度変化の方が高い傾向が得られた。また、顔色が表情認識に与える効果は、表情のカテゴリを変化させるほど強くはなく、元々の表情を強化する役割であることが示唆された。 その他、日本人被験者対象に様々な実験を行った。オンライン環境を模した画像や動画を用いて照明が顔印象に与える影響を調べた実験では、自然光に近い分光分布の照明の方が顔印象が良い傾向が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、主として基本的な顔と肌の色や明るさの知覚特性の国際比較に取り組んだ。様々な手法による実験と比較検証ができたため、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き肌の明るさと色が顔の色・質感印象に与える影響および情動認識に与える影響の国際比較を推進するとともに、肌の質感認識に関する影響の検証、社会的・文化的観点からの分析・考察に取り組んでいく。
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